「戦争繰り返さぬ」 与那原町民平和の日で式典


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戦争で破壊された与那原駅舎の写真前で献花する参加者ら=21日、与那原町の軽便与那原駅舎前広場

 【与那原】与那原町は町が制定する「与那原町民平和の日」の21日、軽便与那原駅舎前広場で記念式典を開いた。町民や関係者ら約130人以上が参加し、沖縄戦体験者の具志堅貞子さん(86)の証言に耳を傾けた。小中高生らの平和メッセージや合唱もあった。式典の最後には、戦争で破壊された与那原駅舎の写真を前に参加者全員が献花し、会場は静かな祈りに包まれた。

 1945年5月21日は、町のシンボルとして知られる運玉森の東側が米軍に占領された日であり、町は2011年に条例で「町民平和の日」と定めた。

 具志堅さんは45年3月23日の空襲から始まった防空壕での生活や、目の前で母親を失った経験などを、まるで当時の光景を見ているかのような表情で証言した。「母の死を目の前にしても、悲しいとは感じなかった。(母が)自分より先に死んだ、としか思わなかった」と語った。

 最近まで戦争の夢を見ることがあったという具志堅さんは「戦争のむごさは忘れることができない。平和をいつまでも持ち続けてほしい」と願った。

 町ジュニアリーダーの中高生7人は、平和を次の世代に受け継ぐ覚悟をメッセージとして読み上げた。メッセージを作った1人で、首里高1年の上原陽(ひかり)さん(15)は「二度とあの戦争を繰り返さないという気持ちを込めた」と話した。