世界初の再生医療研究開始へ 豊見城中央病院、中頭病院など


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発表した(左から)東京女子医大の清水達也先端生命医科学研究所所長、豊見城中央病院の新垣晃院長、同院の加藤功大先端医療研究センター長、中頭病院消化器内科・ちばなクリニックの石原淳副院長=25日、県庁

 豊見城中央病院と中頭病院は東京女子医大と連携して、食道がんを切除後に陥る可能性のある食道狭窄(きょうさく)に対して、口腔(こうくう)粘膜から培養した「細胞シート」で治療する臨床研究を開始すると発表した。豊見城中央病院によると、食道狭窄に再生医療を用いる研究は世界で初めての事例で、早ければ5月中にも臨床研究を始める。25日に県庁で記者会見した豊見城中央の新垣晃院長は「本県における再生医療産業の大きな転機となる」と語った。3者は臨床結果を積み重ね、沖縄を再生医療の普及に向けた臨床拠点とすることを目指す。

 食道狭窄は食道の一部が狭くなり、食べ物が通りにくくなる病状。食道がんの切除後に起こる場合がある。豊見城中央によると、食道がんの国内での発症が年間約8千人で、そのうち約3千人が食道の3分の2以上を切除しており、食道狭窄に陥る可能性がある。

 食道の治療はこれまで「バルーン」と呼ばれる内視鏡による食道拡張術で対処していたが、1回で治療が終わらない場合も多かった。ステロイドホルモンを使うため副作用が生じ、患者への負担も大きかった。今回の研究は東京女子医大が開発した「細胞シート工学」の技術を活用し、県の先端医療実用化推進事業の支援を受けて豊見城中央と中頭で臨床を実施する。