米空軍嘉手納基地に在韓米軍のU2偵察機が一時移駐する際、米軍が住宅地に隣接する旧海軍駐機場に駐機させる方針を示していることを受け、嘉手納町民でつくる嘉手納町基地対策協議会の上地安重会長らは31日午前、沖縄防衛局に中嶋浩一郎局長、外務省沖縄事務所に川田司大使を訪ねて抗議した。上地会長は「断じて許せるものではない」と抗議し、當山宏町長も町としての抗議文を手渡した。
上地会長は「日米の合意事項をいとも簡単にほごにし、嘉手納町民の置かれている状況を無視したかのような基地運用を強行する米空軍に対し、強い不信感を抱かずにはおられない」とする協議会での決議文を手渡し、使用中止を訴えた。
中嶋局長は「防衛省全体として、SACO最終報告の騒音軽減イニシアチブの趣旨を踏まえた運用を行うよう強く求める」と述べ、旧駐機場への駐機を疑問視した。
川田大使は「SACO合意を守ってもらわないといけない。外務省として引き続き米側に強く申し入れる」と述べ、旧駐機場の使用をしないよう求める考えを示した。
嘉手納町基地対策協議会は29日に開いた総会で、旧海軍駐機場の使用禁止を求める抗議決議を可決していた。同協議会が決議を可決するのは異例。
旧海軍駐機場は住宅地に近く、騒音が問題となっていたため、駐機場の基地内移転が1996年の日米特別行動委員会(SACO)の最終報告で合意され、1月に完了していた。一方、移転後も複数回使用されており、その度に町などは抗議している。
當山宏町長は「町民は駐機場の移転で昼夜問わずの騒音からようやく解放された。また同じように使用され、騒音が発生する危機感を持っている。このまま使用されると、場合によっては基地を返せとなり、米軍との信頼関係も失墜する」と強く抗議した。【琉球新報電子版】