合意ほご、旧駐機場「今後も使用」 米軍嘉手納基地、負担軽減に逆行


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 隣接住宅地域の騒音軽減のため1996年の日米特別行動委員会(SACO)合意に基づき今年1月に移転した米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)の海軍旧駐機場について、同基地は1日、琉球新報の取材に対し今後も使用を続ける意向を明示した。その上で合意に「違反していない」との認識を示した。

 海軍旧駐機場を巡っては、5月31日に韓国オサン基地から飛来したU2偵察機が使用していることを受け、県や嘉手納町がSACO合意に違反すると抗議、要請していた。米軍の認識はこれを否定したものでSACO合意を一方的にほごにした格好。「負担軽減」に逆行するもので地元自治体などは強く反発している。

 嘉手納基地は1日、琉球新報に「北駐機場(海軍旧駐機場)の一時使用は日米両政府の合意に沿ったものだ」とし、合意違反を否定した。日本政府は5月31日、米空軍に「SACO最終報告の騒音軽減イニシアチブの趣旨を踏まえた運用」を米軍に申し入れていた。

 嘉手納基地は「北駐機場は、他の選択肢がない場合にだけ使用する」とした上で、「嘉手納基地には運用上の要求がある」とし、今後も海軍旧駐機場の使用を続ける意向を示した。

 U2偵察機が5月31日に海軍旧駐機場を使用したことを受け、県の池田竹州基地対策統括監が1日、嘉手納基地第18任務支援群のポール・オルダム司令官(大佐)に電話で使用禁止を要請した。県は海軍旧駐機場の使用は「SACO合意の趣旨に明らかに反する」と指摘した。県によると、オルダム氏は「SACO合意違反ではない」と反論した。

 海軍旧駐機場は1月の移転以降も、外来機のKC135空中給油機やC146A特殊任務機などが飛来し、一時駐機を続けてきた。嘉手納町などからは「駐機場移転の意味がない」などと反発の声が上がっている。

 沖縄防衛局によると、U2偵察機は約1カ月にわたり同駐機場を使用する予定。