稲田朋美防衛相は2日の記者会見で、1996年のSACO(日米特別行動委員会)最終報告に基づき今年1月に移転した米軍嘉手納基地の海軍旧駐機場について、米軍が今後も使用することを容認する意向を示した。
米側に旧駐機場の使用中止は求めていない。SACO合意違反との認識も示しておらず、米軍の使用を全面的に容認した形だ。また、旧駐機場に残っている整備格納庫など残余施設の継続使用を日米間で合意していたことが防衛省への取材で分かった。駐機場移転のため日本政府が157億円(契約ベース)を負担したことも明らかになった。旧施設の撤去費用などは含まれず、新たに提供した格納庫や誘導路などの費用としている。
米軍は残余施設の継続使用の合意を理由に旧駐機場の使用を「日米合意に沿ったものだ」と主張しているとみられる。ただ防衛省関係者は「倉庫などとして使うものだ」と駐機場としての利用は認めていないとした。
稲田氏は今回の使用は「例外的」との認識を示した。一方、米軍が琉球新報に対して旧駐機場を今後も使用すると回答したことには「SACO最終報告の騒音軽減イニシアチブの趣旨を踏まえた運用を行うよう強く求めている」と述べるにとどめ、使用を中止すべきとの認識は示さず米軍の使用を追認した形だ。