米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)の旧海軍駐機場の継続使用について米空軍嘉手納基地第18航空団のポール・オルダム司令官は8日、「2009年の日米合同委員会で運用の必要性に応じて使用することに同意している」と明らかにした。旧駐機場使用に抗議する嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)に対して述べた。一方、沖縄防衛局は8日、日米間の合意の存在を否定し、米側に抗議したことを明らかにした。日米間で認識が異なる中、米側が一方的な解釈で旧駐機場を使用しているとも言え、地元の反発は一層高まりそうだ。
防衛局は取材に対し、米側が主張する合意について「運用のため必要に応じ旧駐機場を使用するということを日米間で合意しているという事実はない」と否定した。米側には「事実に反する内容を一方的に回答した」として抗議したという。防衛局の中嶋浩一郎局長も三連協の抗議の席上、オルダム司令官の発言に「極めて遺憾だ。事実に反している」と否定した。
2009年2月の「日米合同委員会合意事案概要」は、海軍駐機場の移転について「承認を得た」としているが、移転後の旧駐機場の使用については記載がない。合同委合意の詳細について防衛局は「米国との関係もあり公表できない」と答えた。米空軍にも合意内容などを質問したが、8日中の回答はなかった。
米側はこれまでも旧駐機場の使用根拠について「日米両政府の合意に沿ったもの」と述べ、日米間で確認されているものと主張してきたが、日米合同委という具体的な合意手続きが明らかになったのは初めて。
旧海軍駐機場は、住宅地域への騒音被害軽減を目的に1996年のSACO(日米特別行動委員会)最終報告で移転が決定。今年1月に主要滑走路の反対側に移転が完了したものの、その後も外来機による使用が相次ぎ、嘉手納町や県はSACO合意違反だと抗議した。
5月31日には韓国烏山(オサン)基地から飛来したU2偵察機が旧駐機場を使用。嘉手納基地は6月1日、取材に「北駐機場(旧海軍駐機場)の一時使用は日米両政府の合意に沿ったものだ」「北駐機場は、他の選択肢がない場合にだけ使用する」などと回答していた。