1424~1867年の444年間にわたる琉球王国の外交文書をまとめた「歴代宝案」を復元し、漢語で記載した「校訂本」全15冊が2016年度で刊行を完結した。漢語の読み下しを記した「訳注本」などの刊行がまだ続くが、1991年から25年をかけた沖縄県の一大プロジェクトは一つの節目を迎える。7月8日には県公文書館で記念シンポジウムも開く。
「歴代宝案」は中国、朝鮮や東南アジア諸国との文書を収録し、東アジア史、東南アジア史を解明する第一級史料。原本は沖縄戦などで消失しており、戦前に残された写本や写真を基に復元作業を進めた。校訂本15冊に文書約4320件を収めた。残された史料は、書き写す際の誤字・脱字や虫食い、時代とともに字体が変化して不明確な文字も。全国の研究者延べ約20人が関わり、複数の写本や中国の琉球関係史料と照合を重ねて解明を進めた。
校訂本のほか訳注本もすでに10冊が刊行されている。今後は訳注本の残り5冊を2021年までに刊行するほか、デジタル版を作成してホームページで公開する。平敷昭人県教育長は「琉球の歴史や国際関係の解明にも役立つ」と活用を期待した。校訂本は県内外の図書館や大学、海外の研究機関などに寄贈される。