犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が15日朝の参院本会議で成立した。自民、公明両党は参院法務委員会の採決を省略するため「中間報告」と呼ばれる異例の手続きで採決を強行。監視社会や捜査権乱用につながるとの懸念を置き去りにした形だ。15日未明の衆院本会議では安倍内閣への不信任決議案が否決された。
同法は適用犯罪を277とし、対象をテロ組織や暴力団などの「組織的犯罪集団」と規定。構成員が2人以上で犯罪を計画し、うち少なくとも1人が現場の下見や資金調達などの「準備行為」をすれば、計画に合意した全員が処罰されるとの内容。実行後の処罰を原則としてきた刑法体系を大きく変えることを意味する。
国会審議では民進、共産両党などから「適用対象の定義があいまいで、恣意(しい)的な運用の恐れがある」との批判が噴出した。金田勝年法相の不安定な答弁も問題視された。
政府は国際組織犯罪防止条約を締結するために早期に成立する必要性を強調した。2020年東京五輪・パラリンピックを控えたテロ対策強化も前面に掲げた。
中間報告は委員会の審議を途中で打ち切って委員長らに本会議への報告を求める手続き。内閣不信任案は民進、共産、自由、社民の野党4党が「強権的な国会運営」などを理由として14日夜に提出した。