内閣府の「沖縄離島活性化推進事業」を活用した南城市久高島の野菜工場建設計画が暗礁に乗り上げている。受注先選定を巡る問題を報じる一部報道を受け、古謝景春市長が自身のフェイスブックで事業中止を表明した。同事業に関しては土地の共有制をうたった久高島土地憲章の解釈を巡って島内で意見が割れており、事業遂行が不透明な状態に陥っている。
同事業の総事業費は2億3千万円。4月18日付で1億4800万円の交付が決定している。市は国への申請時点で特定の事業者名を明記した。
同事業について8日、国への申請段階で特定事業者が決まっている点について「事業の透明性に疑問をもたれかねない」とする一部報道があった。それに対し、南城市長は「(事業を)やめる事にしました」とフェイスブックに投稿した。
投稿について古謝市長は15日午後の南城市議会一般質問で「浅はかだったと言われても仕方がないが、報道内容に異議を申し立てるため、やむなく申し上げた」などと説明した。「区民が一丸となって頑張ることが確認できれば、やりたい」と述べ、事実上、事業中止を撤回した。今後、久高島で開かれる臨時総会を踏まえ、最終的に判断する。
沖縄国際大学の照屋寛之教授(政治学)は「フェイスブックは一部の人しか見ていない。市長としての見解は公式の場で言うべきだ」と指摘した。