居場所、子どもの9割「良い」 親の7割、支援員を評価 貧困対策で内閣府調査


この記事を書いた人 平良 正

 内閣府は20日、沖縄子どもの貧困緊急対策事業のアンケート結果を公表した。「子ども食堂」などの居場所を利用する子の66・2%が「この居場所に来て良かったと思うか」の質問に「そう思う」と回答。「どちらかといえばそう思う」(21・8%)を合わせると9割弱を占めた。また、各市町村に配置されている貧困対策支援員と「会うようになって良かったか」との質問には、親の73・1%が「そう思う」と答えるなど、居場所や支援員の存在が役立っていることを裏付ける結果となった。

 内閣府は昨年度から市町村への支援員の配置や「子どもの居場所」の運営支援を始めている。今回の調査は昨年12月に実施し、居場所を利用する子1110人と、支援員に関わる親245人、子312人の計1667人から回答を得た。

 支援員との関わりで役立った分野の支援については「教育」と答えた親が71・8%と最も多かった。その内訳では「無料塾へつながったこと」を挙げた人が多く「初めて無料塾があることを知り喜んだ」などの意見も寄せられた。

 また、役立った分野の支援で「福祉」に関する内訳は「福祉機関へのつなぎ」が56%と最も高く、次いで生活保護の手続き(28%)、生活困窮者自立支援制度の手続き(22%)となった(グラフは複数回答)。

 将来どの学校まで行きたいか、居場所を利用する前後で考えが変わったかどうかについては、子の73・5%が「変わらない」と答え、「変わった」は20・2%だった。

◇リアルな姿を反映

 貧困問題に詳しい法政大学教授の湯浅誠さんの話 事業開始から数カ月で劇的に変わるわけではないが、変わっている子も一定数いる。リアルな姿を反映しており、ある程度の効果を示している。世の中にはまだ貧困対策を実施することに不安や疑問を持つ人もいる。成果が現れた今回の調査結果を、居場所に対する地域の理解を獲得するためのツールとして使ってほしい。

 今後は居場所に来た子どもを長期的に追跡調査して、数年後の学力や職業などを居場所に来ていない子どもと比較して、客観的な効果を測る必要がある。このような長期調査は全国的に少なく、沖縄県の先駆的な取り組みを期待している。(談)