沖縄県の翁長雄志知事と嘉手納町、沖縄市、北谷町でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)の3首長は7日午後、防衛省で稲田朋美防衛相と会い、米軍嘉手納基地での旧海軍駐機場の使用やパラシュート降下訓練に抗議し、禁止を求めた。三連協と県による合同要請は異例。県は要請文に嘉手納基地の撤去運動に発展する可能性を初めて書き込み、要請事項を日米安全保障協議委員会(2プラス2)で取り上げるよう具体的に求めるなど、政府に厳正な対応を迫った。
稲田氏は「誠心誠意対応したい」と述べるにとどめ、米側に対する政府の具体的な対応は示さなかった。
県と三連協は別々の要請書を手渡したが、双方とも2項目の禁止を要請した。2項目について三連協は米側への申し入れ、県は2プラス2で協議するよう求めた。
翁長知事は要請文で、米軍が1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告に違反する形で嘉手納基地を運用しているとして「今後の嘉手納飛行場の使用、ひいては日本の安全保障体制に影響を与える恐れがあると危惧する」とし、嘉手納基地の撤去運動への可能性をにじませながら、政府に米側との交渉を要求した。
三連協会長の桑江朝千夫沖縄市長は「住民の静かで安心、安全な暮らしを願う思いを踏みにじり、基地負担軽減に逆行する。断じて容認できない」と訴えた。
稲田氏は「信頼関係を壊すことがないように頑張りたい」などと応じた。
三連協と県は7日夕、外務省の薗浦健太郎外務副大臣にも同様に要請した。薗浦氏は海軍駐機場について「騒音は軽減ではなくて、ゼロにならなければならないという気持ちで米軍側とも交渉していく」と話したという。
県はこれまで、パラシュート降下訓練は「SACO最終報告の趣旨に沿って実施されるべきだ」との立場で使用禁止までは求めていなかった。だが訓練強行が相次いでいることから、地元3市町と合同で禁止を求める姿勢に踏み込んだ。