【島人の目】地元出身バスケ選手に期待


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 中産階級の人たちが住むこぢんまりした街、米カリフォルニア州チノヒルズ市。小高い丘の上に位置し、多くのトレイル(散歩道)があることから、この街が「カントリーサイド」と呼ばれるゆえんである。私は妻と2人でこの街に住んでいる。

 この緑深く閑静な地に最近、センセーショナルな出来事が起こった。米プロバスケットボール協会(NBA)に属するロサンゼルス・レーカーズが今年のドラフトでロンゾ・ボール選手を獲得した。背丈が2メートルのポイント・ガードとしてカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で大活躍した選手で、チノヒルズ高校出身だ。

 レーカーズはかつて数回全米一に輝いた伝統あるチームとして名高い。だが、4年ほど前に創設者のジェリー・バス氏が死去し、娘のジーニー・バス氏(55)がオーナーとして君臨して以来、チームは低迷が続いている。新オーナーは優秀な監督、マネジャー、副社長らをことごとく首にし、自分の思い通りの政策を実行した。だが、ドラフト1位で獲得した新人選手のけがなどで、ここ5、6年西部地区で毎年下位を余儀なくされている。

 2月、オーナーのジーニー氏は思い切ってマジック・ジョンソン氏を社長に据えた。ジョンソン氏はプレイヤーとしても、「マジック」と呼ばれるくらいに優れた選手で、彼のノールック・パスは永久不滅。経営の方も優れた手腕の持ち主で、人望も熱いのだ。

 ボール選手の獲得は6月下旬であったが、その2週間前にジョンソン社長とペリンカ・マネジャーはわざわざボール選手の両親とチノヒルズ高校の校長ほか4人の先生に面会し、ボール選手の人柄について確認した。ロンゾ選手はメディアのインタービューに「社長とマネジャーはチノヒルズの名を知らしめた。これまで、ここ出身の有名人はほとんどいないが、2人のおかげでここは名高くなるに違いない。私はこの地の出身であることを誇りに思う」と語った。ロンゾ選手はレーカーズで今秋からプレーする。

 過去20年間 ジェリー・ウェスト、ウィルト・チェンバレン、カリーム・ジャバー、マジック・ジョンソン、コービー・ブライアントら多くのスーパースター選手がもたらした黄金時代を、今度はボール選手によって再び栄光の座に戻すことができるのだろうか、胸がときめく。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)