山之口貘賞にあさとさん、佐藤さん 28日に贈呈式


この記事を書いた人 大森 茂夫
(左から)あさとえいこさん、佐藤モニカさん

 第40回山之口貘賞(琉球新報社主催、山之口貘記念会、南海日日新聞社後援)の選考会が12日までに東京都内で開かれ、あさとえいこさん(68)(本名・安里英子)=南城市=の詩集「神々のエクスタシー」(あすら舎)と、佐藤モニカさん(42)=名護市=の詩集「サントス港」(新星出版)が選ばれた。2作同時受賞は2014年以来3年ぶり。贈呈式は琉球新報児童文学賞とともに28日午後6時から、那覇市前島の沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハで開かれる。

 応募詩集は9冊。選考委員は天沢退二郎氏(詩人、宮沢賢治賞受賞)、以倉紘平氏(詩人、H氏賞、現代詩人賞受賞)、与那覇幹夫(詩人、小野十三郎賞、山之口貘賞受賞)。

 「神々のエクスタシー」は「詩人の生の進行と言葉の流れとの、絶妙な並行ぶりに由(よ)ること大である」(天沢氏)、「沖縄人の古代的魂と重い家族史を歌った詩集に脱帽」(以倉氏)、「琉球弧の原風景が、衒(てら)いのない言葉で書き留められていた」(与那覇氏)と評価された。

 「サントス港」は「〈傷〉〈収穫〉〈猫〉などの単純でいて意味深長な主題」(天沢氏)、「人生を聡明(そうめい)にすこやかに歌って垢(あか)抜けした詩集」(以倉氏)、「サントスと沖縄の光景が、清々(すがすが)しく交差していた」(与那覇氏)と評価された。