遺族135人が集団申請 戦没者DNA鑑定 国は実施に前向き


この記事を書いた人 大森 茂夫
厚労省職員(手前左)にDNA鑑定集団申請予定者名簿を手渡すガマフヤーの具志堅隆松代表=12日午後、参院議員会館

 【東京】沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表と遺族らは12日、参院議員会館で厚生労働省に対し、民間人を含む戦没者遺骨の身元を特定するためのDNA鑑定を望む遺族の名簿135人分を提出した。戦没者遺骨の鑑定を集団申請するのは初めて。これまでは事実上、軍人・軍属に限定され、死亡場所も条件付きだった。

 これに対して厚労省の担当者は「民間人を排除する意思はない。軍属、民間人を問わず、DNA鑑定をしていくと考えていたが、これまで民間の方が手がかりがなかった」と民間人を含む鑑定に前向きな姿勢を示した。

 今回、鑑定を求めている戦没者は民間人も多く、死亡場所が分からない例が多い。具志堅代表は「死亡場所が分からないのが沖縄戦の実情だ」と軍民や死亡場所を問わず、希望する全遺族の鑑定を求めた。

 厚労省は月内にもホームページなどで鑑定の申請方法を周知。集団申請した135人を含む戦没者の遺族に申請書を送付し、手続きを進める方向で県と調整している。申請時に詳細な情報を記載することも促す。

 ガマフヤーは鑑定を拡大するための要請書も提出。(1)沖縄戦遺族のDNA鑑定の全員受け付けと、年1回、照合結果を遺族に報告(2)県が保管する遺骨を迅速に鑑定(3)国際基準に沿った鑑定体制構築(4)テレビやラジオ、新聞などでのDNA鑑定募集広報の実施―の4項目を求めた。厚労省の担当者は4項目の要請に対しても前向きに進める考えを示した。