沖縄の空気感作品に 芥川賞・又吉直樹さん講演 琉球フォーラム


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「両親のふるさとやおばあちゃんの言葉を、いつか表現したい」と語る又吉直樹さん=那覇市のホテルロイヤルオリオン

 会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・富田詢一琉球新報社長)の7月例会が12日、那覇市のホテルロイヤルオリオンで開かれた。お笑い芸人で作家の又吉直樹さんが「僕と文学」と題して講演し、文学や、自身のルーツである沖縄・奄美への思いを語った。

 2015年に小説「火花」で芥川賞を受賞した又吉さんは「読書芸人」としても知られる。本を読む理由について「単純に面白いから」とし「普段、自分が感じている感覚を作家の言葉の力によって引き出し、確認する痛快さがある。また、作品を読むことで自分と違う考え方を知ることもできる」と魅力を語った。

又吉さんの話に耳を傾ける琉球フォーラムの会員ら=12日、那覇市のホテルロイヤルオリオン

 又吉さんの父親は名護市出身、母親は奄美の加計呂麻島出身。両親それぞれの実家でのエピソードを語り沖縄も奄美も「島の力というか、人間の境界が解け合っている感じがある」とし、「沖縄の人の明るさや空気感といったものが書けたらいいなと思う。両親、おばあちゃんを通して感じていることを言語化できたらいいと感じている」と展望を語った。

 5、6歳のころ、親戚の前で踊り、笑いを取った又吉さんに「調子乗んなよ」と言い放った父親について「父が不条理をこまめに出してくれたおかげで、いろんな状況を受け入れることができるようになった。両親とも愛情や信頼関係があったのが大きい」とユーモアを交えて語った。

英文へ→Akutagawa Award winner Naoki Matayoshi talks about writing that captures Okinawa’s atmosphere at the Ryukyu Forum