【島人の目】一期一会


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 幸運なことにわが家には、米国内外からいろいろな分野の客人が訪ねて来てくれる。友人らはわが家をある時は「民宿すずき」、ある時は「居酒屋すずき亭」、そしてある時は「喫茶ベルツリー(鈴の木)」と呼ぶ。

 一期一会をモットーに客人を迎えられること、そして、連れのユンタク好きと聞き上手が功を奏し来客からの「耳学問」が得られることがうれしい。

 今春の訪問客は、昔からの友人とその仲間の特別支援学校の教育者一行。教育談義に花が咲き、先生方の熱心に教育に携わっている姿に心を打たれた。友人は、子ども発達科学研究所に籍を置き、発達障害や子どもの問題行動、いじめ、不登校に対して科学的根拠がある支援方法を発信している。そして科学は一つの回答を明確に与えてくれるとして支援者トレーニングのプログラムを実施している。どんな個性を持った子どもでも健やかに生き生きと暮らせる社会の実現に尽力している。

 往復6時間かけてユンタクに来てくれる他州に住んでいる博学のおじさまのおかげで沖縄の民政府時代の興味深い裏話が聴けて勉強になっている。休みを利用してわが家にやって来る若者や米留学中の日本人学生らの訪問はこれまで計100人以上になるのではないか。若者からも大いに学ばせてもらっている。何と言っても今どきの若者気質を知ることができるのは楽しいことである。

 私には、忘れられない家族がいる。彼らの息子の大学の卒業式で訪米した在日韓国人一家の7人。わが家に入るなり、父親が私に向かって「奥さんはわれわれ、在日の気持ちわかるよね。沖縄出身者だから」と言われた。同じ被差別側だからという事であろう。つい、「はい」と答えたが、卒業祝いの宴では韓国と日本ドラマの比較などの話で盛り上がり和気あいあいのいい時間が過ごせた。特派員らとの飲食を共にした政治談義も面白かった。この夏もどんな一期一会が待っているか楽しみである。(鈴木多美子、バージニア通信員)