アジサシの飛来激減 天候や人の影響か


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屋我地島の岩礁に飛来してきたエリグロアジサシ(環境省提供)

 【北部】名護市の屋我地島周辺に飛来する準絶滅危惧種のアジサシの2017年の飛来数と営巣数が、16年に比べて減少していることが環境省やんばる野生生物保護センターの調べで分かった。16年6月のベニアジサシの営巣数は67巣、飛来数は161羽だったが、17年6月はそれぞれ8巣、102羽に減少。エリグロアジサシは16年の営巣数34巣、飛来数93羽から、17年はそれぞれ2巣、76羽に減少した。

 やんばる野生生物保護センターは、繁殖期に入る毎年6月に、屋我地島での営巣数、飛来数を目視で確認している。同センターの山本以智人自然保護官は「非常に少ない。繁殖成功数が少なくなると、今後の飛来数も減少する可能性が出てくる」と警鐘を鳴らした。
 14年7月には、ベニアジサシとエリグロアジサシの営巣数はともにゼロだった。野生生物保護センターはこうしたアジサシの飛来数や営巣数の減少を受け、アジサシが卵を産んだことのある岩礁に注意喚起を促す看板を2015年に設置している。山本さんは沖縄を訪れるアジサシの減少について「天候の影響と人間の影響が考えられる。天候が良い年でも、人の影響で減少することがある。沖縄での繁殖環境を守っていく必要がある」と話した。