沖縄県が沖縄伝統空手・古武道の継承と振興を目的に実施した初の実態調査で、沖縄が空手発祥の地であることを知らないのは県外で65・5%に上った。後継者不足や空手のみで生活できる人も少ないなど県内での課題も分かった。県空手振興課が22日までに発表した。
「沖縄が空手発祥の地」と回答したのは県内で96%だったのに対し、県外は34・5%だった。「発祥の地」と回答した県外の人でも21・8%は「なんとなく知っている」と回答し、「確かに知っている」の12・8%の約1・6倍に上った。空手愛好家は現在、海外を含め県内外で1億3千万人いるとされるが、県外での認知度の低さが浮き彫りとなった。
県内の空手道場経営者は「門下生の人数が少ない」(28・6%)、「道場の規模が小さい」(17・7%)、「後継者がいない」(14・8%)などの悩みを抱えており、36・9%が空手以外で主な収入を得ており、空手で収入を得ていない人も21・2%いた。
沖縄伝統空手・古武道を普及させるための方策を複数回答で募ったところ「伝統的な技法の継承」(75・9%)や「文化的価値の確立」(68・0%)と伝統・歴史が重視される一方、「人材育成」(72・4%)や「情報発信力」(68・5%)など次世代や県外への発信・継承を重視する人も多かった。
県内道場の37・4%はアメリカやオーストラリア、スイスを筆頭に欧米圏から門下生を受け入れていた。門下生は繰り返し沖縄を訪れることが多く、空手を通しての交流が根付いていることが改めて示された。
県は調査結果を基に2017年度中に「沖縄空手ビジョン(仮称)」の策定を予定している。策定委員会を設置し、沖縄伝統空手・古武道の継承へ力を入れる。
調査は2016年11月から17年3月に、県内の386空手道場を対象に実施。203道場から回答を得た。インターネットでも3月16、17の2日間、国内400人、県内200人を対象に調査した。