【宮古島】全国各地で語り継がれる「平家の落人伝説」。宮古島市平良狩俣の伊良部由実子さん(58)宅にも「平家由来」とされる古刀と古文書、かんざしが代々伝わっている。伊良部さんは13日、これらの品々を、市総合博物館(上地等館長)へ寄贈・寄託した。伊良部さんは「湿気などでダメージを受けている。自分では保管が難しいから博物館で管理して多くの人に見てほしい。そして本当に平家がルーツなのか知りたい」と期待を懸けた。
古刀はさびており、刀身は1メートルほど。古文書も劣化が激しく、過去に一門の一人が解読を試みたが、判明したのは往復書簡集という程度で全容は分かっていない。かんざしには平氏の流れをくんだ「七曜紋」が施されているという。時々、自宅には歴史好きの人々が訪れ、観賞していったこともあるという。
伊良部さんの祖先は狩俣集落北東の海浜「ナービダ」に流れ着いたと言い伝えられる。琉球王朝時代に首里に上る公船の指揮をとった「ニーマヌシュウ」(根間の主)が祖先に当たるとされる。伊良部家の男性は父の平勇さんも含めて名前に代々「平」の字が使われてきた。
昨年12月、父の平勇さんが亡くなったことを機に、博物館への寄贈を決めた。「父は品々を大切にしていたので、喜ぶと思う。興味のある人は博物館で見て学んでほしい」と話した。
上地館長は「貴重な品の管理を任せてもらってありがたい。まずは修復をして、どこまでできるか分からないが古文書の解読をしてみたい」と語った。特別展などで展示していく方針だ。