4案で黒字転換、残り3案は赤字拡大 名護-那覇の鉄軌道 技術検討委が比較


この記事を書いた人 大森 茂夫

 沖縄本島への鉄軌道導入について技術面から検討する県の沖縄鉄軌道技術検討委員会(委員長・兵藤哲朗東京海洋大教授)の第6回会合が31日、県庁で開かれた。那覇から名護を結ぶ7ルート案のうち、施設を公共が整備し運営主体とを分離させる「上下分離方式」だと、「中部東・北部西=C案、C派生案」で国道330号を経由した場合、開業後1年で黒字転換するとの見通しが示された。

 「中部東・北部東=D案、D派生案」は330号経由だと30年前後、58号だと54~58年で黒字転換の予測。それ以外のほとんどは累積赤字が拡大し続ける。

 1日の利用者の需要予測は、「中部東(北谷経由)・北部西=C派生案」(国道330号経由)が最も多く7・7万人。最も少ない予測は「中部西・北部東(恩納経由)=B派生案」(国道58号経由)で5・6万人となった。

沖縄鉄軌道技術検討委員会の第6回会合=県庁

 収支採算性は、鉄軌道施設の建設も運営も担う「上下一体方式」だと建設への借入金の利子負担や原価消却が大きく、採算は成り立たないとの予測となった。

 「上下分離方式」だと「中部東・北部西=C案、C派生案」の国道330号を経由した場合で開業から1年で、国道58号経由だと29~30年で黒字に転換する見込みだ。「中部東・北部東=D案、D派生案」で国道330号経由だと29~32年、国道58号経由だと54~58年で黒字転換の見通し。一方で「中部西・北部西=A案」の国道330号経由で黒字転換に84年かかり、ほかは累積赤字が拡大し続ける。

 概算事業費も変動の可能性があるが、案によって5200億~6100億円との見込みが示された。用地買収から開業までの工事期間は12年~15年。山岳区間のトンネルが長いA、B案より、市街地の地下トンネルが長いC、D案の方が工期は長い。