作業療法士と学童連携 南風原、県内初の取り組み


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 発達障がいがあったり、周囲とのコミュニケーションがうまくいかなかったりする子どもへの支援方法について、専門知識を持った「作業療法士」が放課後学童クラブを訪れて、学童の支援員にアドバイスをする沖縄県内初の取り組みを、7月から南風原町学童保育連絡協議会が始めている。作業療法士らは遊びや会話から、子どもの心身の特徴を読み取って支援員の関わり方を助言し、各学童が目指す保育の姿に近づける取り組みが進んでいる。

学童支援員(左側)に子どもに合った支援方法を助言する仲間知穂さん(右から2人目)ら作業療法士=7月24日、南風原町内

 「こども相談支援センターゆいまわる」の仲間知穂代表ら作業療法士が7月下旬から南風原町内の学童を訪問支援している。ある学童では、仲間さんらは子どもたちと園庭で一緒に遊びながら「気になる子」の様子を観察して、支援員とのミーティングに臨んだ。

 ミーティングで仲間さんは、集団の輪に入ることが苦手な1人の子について「人に触られることの怖さがあるかもしれない」と支援員に伝えた。その上で「活動に参加する思いはあるので、体になるべく触れられないように工夫すれば遊びに楽しんで参加することができるかもしれない」と語り、その子に合う具体的な遊び方を話し合った。

 仲間さんは「学童の先生は遊びをつくり出すプロ。作業療法士が学童の先生の専門性を引き出して、多様な子どもの可能性を高めていきたい」と語った。

 学童への作業療法士の派遣事業は岡山県学童保育連絡協議会が昨年から取り組み、本年度は南風原町学童保育連盟が岡山県学童保育連絡協議会の助成を受けて開始。岡山県学童保育連絡協議会の糸山智栄会長は「学童の支援員は経験の中で子どもたちと関わりを持っていたが、岡山県では作業療法士の医学的な言葉で論理付けてくれて、支援員も自信を持ち、応用力や指導の力も上がっている」と語り、広がりを期待した。(池田哲平)