粟国便、来月中旬までの運航再開目指す 第一航空


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 【粟国】2015年8月に粟国空港でプロペラ機DHC6が着陸時に滑走路を外れてフェンスに衝突し、11人が負傷する事故以来、那覇―粟国路線が運休している問題で、同路線を運航していた第一航空(大阪府)は8月末までに就航再開へ向けた社の準備態勢が整うことを明らかにした。乗客を乗せた運航再開について同社は9月中旬までの運航再開を目指したいとしているが、県交通政策課は「これから県と村と3者での話し合いが必要だ」と述べ、現時点で再開時期は確定していない。同社の澤田隆夫沖縄事業本部長が16日、那覇空港内の第一航空沖縄事業本部で本紙などの取材に答えた。

 粟国村の新城静喜村長は「安全性が確認できるまでは運航再開は認められない」と述べ、運航再開に慎重な姿勢を示した。

 澤田本部長によると、31日までに操縦士1人、副操縦士1人の養成と必要な訓練が完了する予定で、週3回、1日2往復できる体制が整う。毎日3往復するには操縦士3人、副操縦士3人の計6人が必要で、11月中旬には体制が整う予定。

 第一航空は国からの改善命令に対する完了報告を4月に終え、現在、大阪航空局の審査を受けている。同局による運航・整備体制の確認が終われば、村や県との協議で就航再開日が決まる。

 今年6月に訓練中の機体が滑走路上で蛇行した事例が発生しているが、大阪航空局は、航空法で報告が義務付けられる「航空機の正常な運航に安全上の支障を及ぼす事態」には該当しないと判断しており、澤田本部長も「実際の運航上には問題ない」との考えを示した。

 事故機はカナダのメーカーで修理され、カナダ政府と日本政府の耐空検査を受けた。事故機と別に那覇―粟国路線で使用していた残る1機を乗員の訓練に使用し、当面は乗客を乗せた運航にも使用する予定。

 村民からの信頼回復について澤田本部長は「8月下旬に住民説明会を開き、安全対策などを説明したい。誠実な説明と安全なフライトを通して信頼を得ていくしかない」と述べた。