〝少雨〟農作物に打撃 上旬の降水量最低 宮古と与那国ゼロ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 この夏の沖縄県内は、雨も記録的な少なさとなっている。沖縄気象台の「県農業気象旬報」によると、8月上旬(1~10日)の降水量は統計を取り始めた1961年以降、最も少なかった。那覇市は平年比2%の1・5ミリ、名護市は同46%の35・5ミリ、宮古島や与那国島ではゼロミリだった。この少雨による水不足で、農業用水にも影響が出始めている。うるま市伊計島では貯水池が干上がり、宮城島から水を運んでサトウキビに水を掛けているという。農家からは雨を待ちわびる声が聞かれた。今後1カ月の降水量は、平年並みに回復する見込み。

<野菜類>関東の長雨 高騰助長

県内の少雨に加え、県外の長雨による日照不足で収穫が減少し、値段が高騰している野菜=17日午後、那覇市内のスーパーの野菜売り場

 県内で野菜の値段が上昇傾向となっている。関東地方で雨が続いたことに加え、盆休みで県外からの入荷量が減っているためだ。県産は小雨で、葉野菜の収穫量が減っており、関係者は「価格がいつ落ち着くか分からない」と警戒を強めている。

 市場の卸売り業務を担う沖縄協同青果によると、群馬県産が中心のキャベツの15日の平均価格は1キロ当たり140円で、1週間前の約1・6倍に上昇。レタスは約1・4倍、水菜は約1・3倍に値上がりしている。

 担当者は「県外の盆休みに重なって長雨の影響が出始めている。上昇傾向がすぐに収まるのか、しばらく続くのか、今のところ読めない」と表情を曇らせる。

 スーパー「タウンプラザかねひで」などを運営する金秀商事の担当者は「キャベツやレタスは小分けにして販売している」と述べた。

 県内小売り各社では、価格の変動がないカット野菜の売り上げが堅調という。那覇市内のスーパーで野菜などを購入した主婦(65)は「今後どれだけ値上がりするか心配だ」と話した。

<サトウキビ>品質、収穫の影響懸念

 梅雨明け以降、まとまった雨が降っていない沖縄地方。県糖業農産課によると離島を中心に県内全域で少雨の影響が出てきており、一部の地域ではサトウキビの葉が黄色くなるなどの現象が起きている。このまま秋に向けて雨が降らない状況が続くと、茎が細くなったり、糖度が低くなったりして品質が悪くなり、生産量が減るなど収穫への影響も懸念されている。県は、改めて農家に対し、かん水の呼び掛けを行う予定だ。本島南部地区の中でもサトウキビの生産量が約3割を占める南城市では、葉が黄色くなったり、葉を内側に巻き込むロール現象が出たりしている。JAおきなわ佐敷支店によると、干ばつで地割れしている場所もあり、こういった場所では水をかけても効果が出ない上、地区内の水も不足しているという。さらに高齢の農家が多く、水をまく作業は重労働で負担となるため、作業ができない農家が多いのが現状だ。

 サトウキビ農家の仲本武治さん(75)は「葉がしょげて、根が伸びない。雨を待ちわびている」と話した。