基地建設、鮮明に 1951~52年カデナで撮影 171枚写真集 加藤さん、市に寄贈


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屋根に赤瓦が使われた建築途中の嘉手納基地内の住宅群。手前や奥には、旧集落の名残を残す自然も見られる

 【沖縄】米軍基地周辺の都市形成について研究する立命館大学文学部教員の加藤政洋さん(45)が23日、1951~52年ごろに米軍嘉手納基地内で進められた住宅建設の記録写真を収めたアルバムを沖縄市に寄贈した。写真は171枚あり、旧越来村(現沖縄市)森根地区での工事を請け負った建設業者が撮影した。基地内での住宅工事の過程を伝える写真は珍しく、市は米軍に接収された森根の戦後史を知る上で貴重な資料と見ている。

加藤政洋さん

 アルバムは昨年10月、加藤さんが古本屋の目録から偶然発見した。撮影したのは東京にあった「隅田建設工業」の社員。写真は全てモノクロで、重機による土地の造成や上屋建設、完成後の家屋内など、住宅建設の様子を記録している。沖縄の人たちの日常を写した写真もある。

 工事現場は、1945年9月7日に沖縄戦の降伏調印式が開かれた場所の周辺。加藤さんは学生4人の協力を得て、写っている住宅の場所を現状の地図に落とし込んだり、「特需」と言われた当時の米軍施設工事の歴史をまとめたりして、A4判70ページの報告書を300部作成した。

 23日に桑江朝千夫沖縄市長を訪ね、アルバムと報告書80部を寄贈した加藤さんは「旧越来村の戦後の出発点を考える上で大変貴重な資料だ」と説明した。桑江市長は「展示して、多くの県民に見てもらいたい」と歓迎した。