【東京】日米合意から1年が経過した米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの訓練移転拡大を巡り、防衛省による移転先の訓練場視察が、北海道の1カ所にとどまっていることが1日、本紙が情報公開請求した資料などで分かった。さらに防衛省が合意前からオスプレイの参加が予定されていた別の日米共同訓練を「訓練移転」に言い換えていたことも判明した。訓練移転が進まず、限定的なことが浮き彫りになった。
普天間飛行場所属のオスプレイや回転翼機の県外・国外への訓練移転拡大は2016年9月1日、日米合同委員会で合意した。開示された資料によると、合意を受けて防衛省は16年12月、訓練移転先となる北海道に職員6人を派遣した。
同省によると訓練移転先を検討するため、今年8月の日米共同訓練「ノーザン・ヴァイパー」で使用した北海道大演習場などを視察した。ただ、その他の移転先の視察は行われておらず、今後の予定もないという。
オスプレイの訓練移転の実績はノーザン・ヴァイパーのほかには、16年9月のグアムに16機、17年3月に国内での日米共同訓練「フォレスト・ライト」に6機が参加した。17年度は今後2回訓練移転が予定されているが、いずれも16年度と同様にフォレスト・ライトとなっている。
普天間のオスプレイは訓練移転拡大前の13年と14年、フォレスト・ライトに2機が参加していた。今年3月のフォレスト・ライトへの参加も訓練移転拡大で合意する以前の16年4月時点で既に予定されていた。従来からの訓練が「訓練移転」の枠組みに言い換えられた格好だ。
防衛省は従来からの日米共同訓練を「訓練移転」としていることについて「訓練移転として企画することにより、より多くのオスプレイなどが参加する訓練が沖縄から本土に移転される」と主張する。訓練移転期間中は普天間での飛行減少も確認できたとしている。(仲村良太)