ジュゴン訴訟差し戻し判決を受け、生物多様性センターのメンバーと今後の戦略について話し合うオール沖縄訪米団=22日、米カリフォルニア州オークランド市

 辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議の第2次訪米団(団長・伊波洋一参院議員)がサンフランシスコを訪れていた21日、「サプライズ」の吉報が訪米団に広がった。

 日米の環境団体などが国指定の天然記念物ジュゴン保護のため、米国防総省に対して名護市辺野古の新基地建設中止を求めた米ジュゴン訴訟。米サンフランシスコ連邦高裁は同日、米裁判所には工事中止を命じる権限がないとして訴えを棄却した一審の判断を破棄し、サンフランシスコ連邦地裁へ差し戻した。

 訪米団の環境チームの一員として現地で吉報を受けた原告の1人、東恩納琢磨名護市議は「閉まりかけた扉を開いてくれた生物多様性センター、アースジャスティスに感謝し、辺野古のゲート前や海上で耐えてきた仲間たちにおめでとうと伝えたい。これからも屈せず、仲間と共に希望を持って闘っていける」と興奮気味に話した。

■国境越えつながる

 2003年、日米の環境保護団体や個人が米文化財保護法(NHPA)を理由に、米国防総省を提訴してから約14年。これまで訴訟を起こす資格(原告適格)も認められず、「門前払いされてきた」(東恩納市議)。審理のスタートラインに立ち戻ることができたのは、米環境保護団体との継続的な活動の成果だ。

 訪米団の環境チームリーダー吉川秀樹氏(ジュゴン保護キャンペーンセンター)らは、生物多様性センターやアースジャスティスといった、米国内の環境保護活動・法律の専門家集団とのつながりを草の根レベルで築いてきた。沖縄の現状を伝える英文の論文や資料を作成し、米側と調整を積み重ねてきた吉川氏。「戦争は環境破壊の最大の原因。沖縄という小さな島で生活のすぐ隣に基地を置かれ、環境と平和と人権は全てつながっている」と語り、沖縄の人々の声を国際的な議論の場で訴える必要性を指摘する。

■市民活動「進化へ」

 今回の訪米団の大きな目的は、辺野古の新基地建設阻止をはじめ、やんばるの森の保全と東村高江でのヘリパッド建設・オスプレイの訓練阻止に向けた要請活動だった。

 訪米団環境チームは、アジア・太平洋諸島系米国人の団体などとも初めて面談し、辺野古の新基地建設阻止と、やんばるの森の世界自然遺産登録を目指す活動のロビーイングにも協力を求め、新たな連携の輪を広げた。

 バークレー市議会の辺野古反対決議に尽力した「平和と正義の委員会」のダイアナ・ボン氏は、ジュゴン保護と共に、世界遺産登録への取り組みを盛り込んだヘリパッド建設反対決議への協力を約束。桜井国俊沖縄大名誉教授は「環境、平和、自治、人権は全てつながっており、ワンセットで議論しないと勝てない」と訪米の成果を強調する。

 「生物の世界では、追い込まれた種は進化する」と語る吉川氏。新基地建設を強行する日米両政府の姿勢が変わらない中、沖縄の市民が草の根レベルで国際社会とつながり、「進化」を遂げようとしている。(座波幸代ワシントン特派員)