【ブラジル】勇気と努力で困難乗り越え… 小禄・田原移民100年祝う


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移民100周年を祝う鏡開きをする出席者

 1917年に、20家族39人が沖縄県旧小禄村の字小禄・田原から初めてブラジルに渡って、今年で百年になる。ブラジル小禄・田原字人会(与儀昭雄会長)は8月27日、ブラジル・サンパウロ市のハッカ・プラザで、移民100周年記念祝典(上原テーリオ実行委員長)を開催した。式典には、母県・沖縄から43人が参加したほか、米ハワイからの慶祝団8人が出席。同人会の約千人も参加し、節目を祝った。

高齢者表彰で表彰された103歳の最高齢敬老者、高良太郎さん(中央)

 与儀会長によると、ブラジル小禄・田原字人会は現在、5千人を超えるコミュニティーとなっているという。10年ごとに実施する会員人口の調査で、44の門中がブラジルにあることが分かっている。

 祝典に先立ち、先亡者追悼慰霊法要が、執り行われた。与儀政晃さんの司会の下、慰霊法要実行委員長の上原真栄さんが開会のあいさつを述べた。献楽の儀、献花の儀、献茶の儀に続き、与儀会長と沖縄から参加した字小禄財産管理運営会元理事長の高良忠清さんが追悼の言葉を述べた。南米浄土宗別院日伯寺の稲葉ペドロ導師の読経の下、会場にいた約800人が焼香をあげて、先亡者を追悼した。

 午後から行われた祝典では、与儀政晃さん(日本語)と照屋ジェズース勲さん(ポルトガル語・英語)が司会をし、照屋武吉副会長が開始の辞を、与儀会長と上原テーリオ実行委員長がそれぞれ式辞を述べた。

 与儀会長は「多くの犠牲を払い、勇気と努力で困難を乗り越え、今日の基盤を築いた勇敢な先駆者をしのび、感謝の気持ちでこの100周年を祝いたい」と強調。「先駆者に学び、ゆいまーるといちゃりばちょーでーの精神を引き継ぎながら、ルーツを守り、年寄を敬い、真心を込めて一生懸命働いてほしい」と話した。

 上原テーリオ実行委員長も「先駆者の歴史を思い起こすと、幾多の困難にもかかわらず一致団結し、助け合いの精神を持っていた。同郷人への援助やコミュニティーの発展のために、どれほど貢献したかがうかがえる」と話した。

 沖縄からは字小禄自治会会長の上原直さん、字田原自治会会長の與儀進榮さん、沖縄招待者代表の上原岳文さんが、米ハワイから字小禄人クラブのアラカキ・スコットさんが出席。ブラジル沖縄県人会会長の島袋栄喜さん、ブラジル日本文化福祉協会の呉屋晴美さんらも出席し、それぞれ祝辞を述べた。来賓あいさつの後、沖縄、ハワイからの出席者に記念品が贈呈され、功労者表彰も行われた。功労者として、ブラジル字小禄田原人会の9代目会長の与儀哲夫さん(東新西り川小)と10代目会長の照屋マーリオ勇さん(前ヌ下門小)らが表彰された。

 高齢者表彰では、85歳以上の85人が1人ずつ呼ばれ、記念品が贈呈された。最年長は103歳の高良太郎さん(南米須)だった。敬老者を代表してブラジル文化福祉協会の会長などを務めた91歳の上原幸啓さん(上間三男)が感謝を述べた。

 照屋マルコス実行副委員長が閉式のあいさつを述べ、鏡開きと上原勝男さんによる乾杯の音頭で、ケーキカットが行われた。

 主なブラジル小禄・田原字人会の功労者表彰は以下の通り。(敬称略)

▽与儀哲夫(勇ブラジル字小禄田原人会元会長)
▽照屋マーリオ(同)
▽照屋リカルド(サンパウロ市北地区字小禄田原人会元会長)
▽上原ルイス・イサム
▽高良ツネオ
▽高良シンソ
▽上原シンキ
▽照屋トシミツ(サンパウロ市東地区字小禄田原人会元会長)
▽照屋ツトム
▽高良セルジオ・キセイ
▽照屋ジェズース勲
(城間セルソ明秀通信員)