社会

IUCN調査 沖縄県、辺野古と別協議要請 自然遺産登録、政府と同調

 沖縄県が今秋、世界自然遺産登録に係る調査のため来沖する国際自然保護連合(IUCN)調査団に、今年6月の文書で自然遺産の審査過程とは切り離して新基地建設問題を議論するよう求めていた。新基地建設の阻止を目指す一方で、自然遺産登録で県は日本政府と歩調を合わせて実現を図るものだ。

 辺野古の現状をIUCNに見てもらうため、県は今年4月に要請文書を送付した。それに対しIUCNは5月、日本政府との協議の必要性を県側に伝えた。それに返答する形で県は6月にIUCNに書簡を出し、その中で審査過程と切り離して辺野古問題を取り上げるよう要請していた。

 県が自然遺産登録と新基地建設がもたらす環境問題の切り離しを主張する背景には、自然遺産の審査の過程に新基地問題が組み込まれた場合、基地の存在が登録へマイナスに働くかもしれないとの懸念がある。

 辺野古問題の協議に前向きな姿勢を示したIUCNに対する評価の一方で、世界自然遺産と新基地問題を切り離した県の対応には、一部の市民や自然保護団体から疑問の声も聞かれる。

 名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で抗議活動をしていた読谷村の富樫純子さん(63)は「日本政府による世界遺産申請そのものがまやかしだった。IUCNの議論が、日本にとって世界の常識に目と心を開く機会にしてほしい」と期待した。

 ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表は「大浦湾を埋め立てると、海の生物たちの生息域が奪われるだけでなく、そこにつながった山の生き物たちに影響が出る恐れがある」と指摘。「新たな軍事訓練やオスプレイによる低周波音の影響も考えられる。IUCNは実態をよく調べてほしい」と求めた。