ヤンバルクイナ、繁殖できず 今年は自動撮影カメラに姿なし 専門家「ノネコの影響大」


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ヤンバルクイナの親子=2016年

 【大宜味】昨年7月、16年ぶりにヤンバルクイナの繁殖が確認された沖縄県大宜味村に設置した自動撮影カメラに、今年の繁殖期にヤンバルクイナの姿が一度も映らず、猫の姿が映っていたことがNPO法人どうぶつたちの病院沖縄の調査で分かった。同NPOの金城道男副理事長は「マングースを駆除してヤンバルクイナの生息域が広がっているものの、猫が多く生息している大宜味村で繁殖は定着していない」と指摘している。

 昨年7月、どうぶつたちの病院沖縄が村内に設置した自動撮影カメラに、ヤンバルクイナの親1羽と幼鳥2羽の姿を確認できていた。この場所はヤンバルクイナの繁殖域の南限とみられる。今年も同じように繁殖している可能性があったが、繁殖期の5月以降、昨年と同じ場所に設置した自動撮影カメラにヤンバルクイナの姿は一度も映らず、猫が映っていた。

 自動撮影カメラのほか、録音したヤンバルクイナの鳴き声をスピーカーで流して野生のヤンバルクイナが返す鳴き声から生息域を調べるプレイバック調査も実施したが、今年は鳴き声は返ってこなかった。これらの調査結果から、昨年繁殖が確認された場所でヤンバルクイナが繁殖している可能性は低いとみられる。

 環境省と県が実施しているマングース防除事業の成果で、ヤンバルクイナの生息域の南限は拡大傾向にある。ところが大宜味村では野良猫や野生化した猫(ノネコ)が多く生息しており、ヤンバルクイナが襲われている可能性が高い。

 同村田嘉里の民家で7月、ヤンバルクイナが確認されたことに金城副理事長は「大宜味村でヤンバルクイナの姿が確認されるのは大変喜ばしいことだが、生き残っていけるかが心配だ」と話す。「大宜味村で繁殖が毎年確認できていないのは、猫の影響が大きい」と指摘した。(阪口彩子)