報告書が墜落裏付け 元分析官・リボロ氏指摘 オスプレイ名護沿岸墜落 「制御不能な状態」


この記事を書いた人 大森 茂夫

 【ワシントン=座波幸代本紙特派員】日米両政府が公表した、名護市安部に墜落した米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの事故調査報告書について、米国防研究所(IDA)でオスプレイの主任分析官を務めたレックス・リボロ氏は「米軍の『墜落』ではなく『緊急着水』だったという主張は、報告書と明確に矛盾している」と指摘。報告書内の記述が機体が制御不能な状態で墜落したことを裏付けたと述べた。本紙の取材に11日答えた。

 オスプレイはヘリモードでは制御が不安定なため、空中給油できないという構造上の欠陥を抱えている上、固定翼モードでも機体の前部に給油口と大きなプロペラがあるため、乱気流などで給油機のホースが安定せず、接触すればプロペラを壊す危険性があることを改めて指摘。「事故は操縦士のミスもあるが、そもそもの機体デザインの設計ミスも追及されるべきだ」と強調した。

 また、報告書内の「高度を維持することができなかった」「高度と対気速度が減衰し続けた」といった事故当時の状況を説明する記述から、「機体が制御された状態ではない」と指摘。制御された緊急着水ならローター等の軽微な損傷であるはずが、左翼が見えず、操縦席が機体から垂直に曲がった様子の記述などもあり「着水後の損傷ではなく、『衝撃』を受けた後の全く制御されていない状態での墜落だ」と説明した。

 また、米海兵隊がオスプレイの安全性の問題点について公表しないことに、「プロペラがダメージを受ければ墜落するし、乱気流や強風下での空中給油はそのリスクが高い。人口密集地で事故が起こればどれだけ危険か、米軍や日本政府はもっとリスクを考え、沖縄以外のほかの基地に移動させる、人口密集地では飛ばないなど、対策を取るべきだ」と訴えた。