沖縄市池原に4月1日オープンした社会福祉法人「楓葉(ふうよう)の会」が運営する多機能事業所「椛(もみじ)momiji」(島粒希(りゅうき)統括施設長)が「JID AWARD 2017」(日本インテリアデザイナー協会主催)の大賞に輝いた。福祉施設が大賞に選ばれるのは初めて。設計はイチデザイン(浦添市)の一之瀬暁洋代表が手掛けた。島さんと一之瀬さんは「地域の人と利用者が交流する場になってほしい」と期待している。
1994年から開催する「JID AWARD 2017」は全国の大手設計事務所からも応募がある国内有数の賞となっている。厳しい現地審査などを経て、特に優れたデザインの作品に大賞が贈られる。今回は京都府の「エルメス祇園店」など全国から136点の応募があった。表彰式は22日、東京都内で開かれる。
「「椛(もみじ)momiji」は温かさを感じる木材で内装され、ガラス張りの壁面からは日光が差し込む。大きくせり出す幅が広い階段で立体的になった空間は、どこにいても全体が見渡せるようになっている。
通常、バリアフリーの観点からは避けられる階段をあえて大胆に取り入れた。利用者はテーブル以外でも、階段の自分の好きな場所で思い思いに作業をする。一之瀬さんは「利用者がリラックスできる居心地の良さが大切だ」と説明する。
島さんは「職員も利用者も毎日『行きたい』と思える空間にしたかった」と話し、落ち着いて作業をする利用者や笑顔の職員を見て、効果を実感する。
施設を地域コミュニティーの場にしたいと願う島さんは、昨年7月に起きた神奈川県相模原市の障がい者施設「津久井やまゆり園」での殺傷事件に触れ、「障がい者と接点ができることで、恐怖がなくなる。自分と違う人に排他的な風潮に一石を投じたい」と語った。
施設の目の前には池原市営住宅がある。島さんは「放課後に子どもたちが来て宿題をやったり、祭りなどをしたりする場所にしたい。今回の受賞がいい宣伝になってほしい」とした。