米軍が米軍嘉手納基地で21日にパラシュート降下訓練を計画していることが15日、分かった。米軍から沖縄防衛局に連絡があった。訓練時間は不明。小野寺五典防衛相は15日の閣議後会見で「先方からまだ例外的な場合という十分な説明がない。さまざまなレベルを通じて、嘉手納での訓練を中止するよう申し入れている」と述べ、訓練を容認しない立場を示した。
嘉手納町や沖縄市など周辺自治体には15日午前、防衛局から連絡があった。同日午後、當山宏町長ら嘉手納町、沖縄市、北谷町でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)の首長には嘉手納基地第18航空団のポール・オルダム司令官から、嘉手納基地での訓練は伊江島での要員調整不足により行う旨の連絡があったという。
オルダム司令官は三連協の首長に対し「伊江島で対応する要員が県外に行くため、伊江島の施設が1週間使用できず訓練できる状態ではない。技能の資格維持のために21日に訓練せざるを得ない」と説明したという。一方、県は「強い怒りを禁じ得ない」などとし、米軍嘉手納基地、在沖米領事館、沖縄防衛局、外務省沖縄事務所に訓練中止を電話で要請した。
當山町長は「合理的な理由か大いに疑問だ。嘉手納基地での訓練が恒常化している。SACO合意違反だ。日米安全保障協議委員会(2プラス2)で(中止を求める周辺自治体の声は)米側に伝わっているはずだ。それを無視する形での強行は町民の不信感を高める。断固反対だ」と述べた。
三連協は週明けにも幹事会を開き、対応を協議する。訓練する時間や部隊についての本紙の質問に、嘉手納基地からの回答は15日中にはなかった。
降下訓練は、伊江島での実施が1996年のSACO合意(日米特別行動委員会)で決まっている。しかし日米両政府は2007年、「嘉手納基地を例外的な場合に限って使用」することに合意している。