【ブラジル】困難越えた先輩に感謝 青年隊移民60年で式典


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 ブラジルの独立記念日で祝日となった7日、サンパウロ市のブラジル沖縄県人会会館で、在伯沖縄青年協会(松本正雄会長)の「ブラジル沖縄移民青年隊着伯60周年記念式典」(知念直義実行委員長)が行われた。第1次隊の30人が1957年4月11日に送りだされてから60年。第2次、第3次と続き、300人余が派遣された。

慰霊法要で式辞を述べる山城勇委員長

 記念式典を前に、亡くなった青年隊員をしのび慰霊法要が行われた。献楽の義、献花の義、献茶の義に続き、松本会長と山城勇委員長が式辞を述べた。曹洞宗南米別院佛心寺の田原良樹導師の下、焼香が執り行われた。山城委員長は「戦後の沖縄は人口増加に伴い、海外に行く道しか残されていなかった。青年隊員は先輩移民の指導の下、何とか独立を果たした。70年代には文化やスポーツ活動をはじめ、県人会活動にも大きな進展を与えた」と振り返った。

 記念式典では喜友名智辰さんが司会し、松本会長と知念実行委員長があいさつし、歴代会長や文化活動を担った関係者の記念表彰式が行われた。受賞者を代表して、サンタカタリーナ連邦大学で博士号を取得した黒島カチア・なおみさんの代理で母の初子さんが謝辞を述べた。

 松本会長は「渡伯し60年、幾多の難にも耐え、よき国民としてブラジルに根を下ろしている。一部の隊員は帰国し、志半ばに倒れた仲間も多数いる。60周年を共に祝ってくれていると思う。今日の思い出やこれからの人生の夢などを語り合ってほしい」と話した。

 続いてブラジル沖縄県人会でブラジル沖縄文化センター会長の島袋栄喜さんが祝辞を述べた。子孫を代表して3世の東恩納ナターリアさん(18)がポルトガル語で、久場美輝さん(22)が日本語であいさつし、副会長の久場政忠さんが乾杯の音頭を取った。

 青年隊員や子孫による祝賀芸能も行われ、3世の東恩納ナターリアさん(ポルトガル語)と久場美輝さん(日本語)が司会を務めた。かぎやで風節、ごえん節、赤田花風節で幕開けし、子どもたちによる童謡の合唱、琉球舞踊やレキオス芸能同好会エイサー太鼓による演舞が披露され、カラオケののど自慢も行われた。

ケーキを囲み60周年を祝う参加者ら=7日、ブラジル・サンパウロ市のブラジル沖縄県人会会館

 知念実行委員長によると、青年隊として328人がブラジルに到着し、うち死亡者が88人、帰国者が77人、ボリビア・アルゼンチン・ペルーへの再移住者が14人。残り149人がブラジル在住で、在伯沖縄青年協会が把握できているのが103人。

 記念表彰者は以下の通り。(敬称略)

 知念直義(25代会長)▽石川茂(23代会長)▽新里孝(26代会長)▽宮城あきら▽大嶺初枝▽黒島カチアなおみ(城間セルソ明秀通信員)