パラシュート降下訓練「SACO合意に沿っていない」/小野寺五典防衛相/閣議後会見(沖縄関連抜粋)/2017年9月22日


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小野寺五典防衛相

 ―昨日(9月21日)、米軍が沖縄県の嘉手納基地でパラシュート降下訓練を実施した。SACO合意では降下訓練は伊江島補助飛行場で実施することになっているが、嘉手納基地で実施した理由について米側から説明があるのか。また今年に入って3回目だ。遺憾の意を伝える以外に具体的に米側に合意を順守させる具体策はあるか。

 「昨日嘉手納飛行場において行われたパラシュート降下訓練においては、米側から伊江島補助飛行場での訓練に必要な地上要員が自らの訓練のため不在となり、伊江島補助飛行場が一時的に使用できない。そして部隊運用の都合上、伊江島補助飛行場が使用できるまで訓練日程を遅らせることができないことから、嘉手納飛行場で実施せざるを得ない旨の説明を受けております。パラシュート降下訓練については基本的に伊江島補助飛行場で使用することとしており、嘉手納飛行場はあくまで例外的な時のみ使用されると認識している。防衛省としてはこの米側からの説明をもって、今回の訓練が例外的な場合に該当すると判断することは困難であると考えており、さまざまなレベルで伊江島補助飛行場での訓練を実施するよう申し入れております。このような状況におきまして、嘉手納飛行場で訓練が実施されたことは遺憾なことであります。防衛省としては引き続きさまざまな会議や協議の場において、わが国の考え方を説明するとともにパラシュート降下訓練はSACO最終報告に沿って伊江島補助飛行場で実施するよう米側に求めて参ります」

 ―パラシュート降下訓練について伺う。地元からSACO合意違反だと指摘されているが、防衛省としてはSACO合意違反という認識か。

 「私どもとしては基本的には伊江島でパラシュート降下訓練を行う。そしてまた例外的にというのが嘉手納の使用ということになりますが、今回私どもとして米側から示された嘉手納で行う事案についての説明についてはその理由については承服できないので、伊江島で行ってほしいということを繰り返し申しているということであります」

 ―関連。今、嘉手納基地ではパラシュート降下訓練以外にも旧海軍駐機場の使用や外来機の飛来などが相次いでいるが、嘉手納基地の運用状況についてはSACO合意の趣旨の沖縄の基地負担軽減に合致していると思うか。

 「先ほどの嘉手納飛行場の騒音軽減は大変重要な課題と考えております。累次の機会に私も含めて米側に航空機規制措置の順守に対して、外来機を含む航空機の運用による騒音の影響を最小限にとどめるよう申し入れしております。また騒音軽減を図るため従来から実施している国内への訓練移転に加え、グアム等への訓練移転を実施するなど順次その方向は拡大すると思いますが、沖縄にさまざまな不安の声があることを十分認識しながら私どもとしては海軍駐機場の移転、そして騒音軽減をこれからも米側に対してしっかり申し入れていきたいと思います」

 ―嘉手納パラシュート関連。これまで大臣が2プラス2などで米側に要請してきたことは地元から一定評価もある。一方で結果的に訓練を実施させてしまっていることには政府がしっかり進めてほしいという厳しい声が上がっている。訓練が強行されていることに政府としての責任をどう考えるか。

 「私どもとしては米側に今回のパラシュート降下訓練については遺憾であると申し伝えております」

 ―関連。米軍が昨日声明を発表して嘉手納を使用したのはわずか3日であると例外使用を主張しております。稲田前大臣が6月に訓練実施の通知を受けた際に3カ月連続の実施になることを踏まえて例外的な場合に当たるとの判断に至っていないと話していた。大臣は米側のわずか3日という説明をどのように受け止めているか。

 「私どもとしては今回の事案については、伊江島を使ってほしい。そして、今回嘉手納で行われたことについては遺憾であるということに尽きると思います」
 ―SACO合意違反であると思うか。

 「私どもとしてはSACOに基づく合同委員会その協議の中であくまでも例外的に限って使用されるとその議論の中で合意されているものと理解していますので、今回のことについてはSACO合意と照らし合わせれば私ども、嘉手納のパラシュート降下訓練は遺憾だと思います」

 ―SACO合意違反であるということでよろしいか。

 「今回のパラシュート降下訓練については遺憾であると」

 ―遺憾でなく、SACO合意違反であるという言葉でいいか。

 「日米両国、SACOの問題ですが、日米両国政府はSACO最終報告に沿って、引き続き基本的に伊江島補助飛行場を使用することとしており、嘉手納飛行場はあくまでも例外的な場合に限って使用されるものと。これがSACO最終報告に沿って日米両国が合意した内容でありますので、私どもの見方からするとこの最終報告の内容から照らし合わせるとそれには沿っていないという風に考えております」

 ―SACO最終報告に違反するという風に大臣は考えているというわけですね。

 「SACO最終報告に沿った日米のこの合意について私どもとして、今回の伊江島での降下訓練は遺憾である。この内容には沿っていないと私は考えております」

 ―伺いたいのはSACO最終報告に違反するか。イエスかノーか。

 「その合意には沿っていないということです」

 ―なぜ違反という表現を使わないのか。

 「表現の仕方はさまざまあると思いますが、その合意には沿っていないと思います」

 ―あくまでも違反という言葉は使わないのか。

 「SACO合意の内容について何か法律とか、罰則規定があるとか、そういう違反という言葉のニュアンスよりはこの内容には沿っていないということが適当な言葉遣いかなと思っております」

 ―先ほど、SACO最終報告では嘉手納は例外的使用ということをおっしゃったと思うが、最終報告では嘉手納の例外的使用は触れられてなくて、その後の日米合同委員会合意だと思うが、その点については。

 「かなり技術的なことなので、嘉手納飛行場におけるパラシュート降下訓練、平成19年(2007年)1月25日で、これは外務省と防衛施設庁という文書の中にある内容で日米両国政府はSACO最終報告に沿って、引き続き伊江島補助飛行場を使用することとしており、嘉手納飛行場はあくまでも例外的な場合に限って使用することとされておりますので、今回の嘉手納飛行場の使用は遺憾であると思っております。【おわり】