沖縄県今帰仁村運天の百按司(むむじゃな)墓から戦前、人類学者らによって遺骨が持ち出され、返還されていない問題で、同村出身の芥川賞作家・目取真俊さんが26日、琉球新報の取材に対し「(遺骨を保管している京都大学などは)返還要求がなくても自主的に返すべきだ」と述べた。
目取真さんは欧米各国が旧植民地から収奪した遺骨を返還していることを挙げて「日本だけがその流れから自由というのではおかしい」と批判。遺族や地域の合意を得ずに遺骨が持ち出されたとみられる経緯について「当時の研究者が地域を一段低く見ていたことの表れだ」と指摘した。
沖縄の研究者らが返還を求めていることに関して「現在も(沖縄を)低く見ているのか、京都大学などの対応が問われている」と語った。
さらに、発掘調査が禁止されている天皇陵を挙げて「古代史を解明するのであれば天皇陵も発掘すべきだろうが、触れられてこなかった。その対極に自由に発掘でき、研究できる(琉球人などの)墓がある」と強調。その上で「沖縄やアイヌ、朝鮮人やアジアの国々に対して一段低い扱いをしてきたことは明らかな誤りで、是正していく義務が研究者にはある」と述べた。