世界が驚く「理想の音」 SKO 来月8日、沖縄初公演


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スーパーキッズ・オーケストラについて「僕の理想の音がしている」と語る佐渡裕=19日、兵庫県神戸市の神戸国際会館

 世界的指揮者の佐渡裕が指導する小中高生による「スーパーキッズ・オーケストラ(SKO)」の沖縄初公演(主催・琉球新報社、共催・沖縄市、まちづくりNPOコザまち社中、協賛・沖縄ツーリスト)が10月8日午後2時から沖縄市民会館で開催される。佐渡にSKOの成り立ちや活動、沖縄への思いなどを聞いた。(聞き手 伊佐尚記)

 -SKOは佐渡さんが芸術監督を務める兵庫県立芸術文化センターの開館前の先行事業で結成されたそうだが。

 「センターの大ホールには年間50万人が来る。総入場者数は600万人に達した。公共ホールでは奇跡的な数字だ。大人のプロのオーケストラ(同センター管弦楽団)もあるが、それだけでなく次の世代とつながる教育的な場として(2003年に)SKOが誕生した。全国から厳しいオーディションに合格して入団する。入団すると高校3年までいられる。今は小学4年から高校3年まで約40人のメンバーがいる。各コンクールに受かっている子も多くいる」

 「教育的な場として誕生したが、僕も子どもたちと音楽をつくることに夢中になっていった。時間が限られている中、できるだけ時間と愛情をかけて育てている。子どもだが、世界のオーケストラが驚くほどレベルが高い。先日も兵庫県で2日間の演奏会があったが、2千人のホールが完売するほど人気が高い。SKOは僕自身を映している。僕が夢を持たないと彼らも夢を持たないし、僕が厳しいものを持たないと彼らも厳しい音づくりをしない。僕の理想の音がしているともいえる」

 -毎年、東日本大震災の被災地を訪問している。

 「兵庫県立芸術文化センターは、阪神淡路大震災から10年の復興のシンボルとして(05年に)できた。そこを拠点に活躍するSKOが大災害の起きた所を慰問するのは義務だと思った。被災地の未来、復興していく姿の一つの象徴としてSKOを知ってもらうことも意味のあることだと思った。東北は11年の夏から毎年行くようになった。岩手県の宝来館という旅館のおかみさんの呼び掛けがきっかけだ。そこの海岸で海に向かって亡くなった人々に献奏した。1回目の訪問の時は本当にがれきの山があった。両親を亡くした子どもたちを前に演奏し、SKOも複雑な思いだったと思う。だが、自分たちの演奏で涙を流す人がいる、立って拍手をする人がいる、その人たちに希望を与えられたということは大きな経験になった。今も東北の人たちとの友情は続いている。豊かな心をつくるのが音楽の役割だ」

 -沖縄に対してはどういう思いがあるか。

スーパーキッズ・オーケストラ

 「美しい島だし、人が素晴らしい。僕はゴルフが好きで、宮里優さんを尊敬している。県吹奏楽連盟の先生も熱い人ばかりだ。(10年に)沖縄市民会館でシエナ・ウインド・オーケストラの演奏会をした時は、楽団員も観客もみんなでカチャーシーをした。子どもたちにも沖縄特有の文化を体感してほしい。また沖縄に行く機会があれば、音楽の授業をしながら小さな村にも行ってみたい」
 「今回、僕が行けないのは本当に残念だが、SKOはすごく魅力のあるオーケストラだ。幣隆太朗さん、島田真千子さんと初めて共演する。幣さんはドイツ屈指の名門であるSWRシュトゥットガルト放送交響楽団のコントラバス奏者だ。沖縄の人にSKOの音を楽しんでもらい、大きな話題になることを期待している」

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 演目はレハールの「メリー・ウィドウメドレー」など。沖縄公演の特別プログラムとして、県内のジュニアオーケストラの子どもたちと「芭蕉布」も演奏する。入場料は大人4千円、高校生以下2500円。問い合わせは琉球新報社営業局(電話)098(865)5200(平日午前10時~午後5時)。9日には沖縄平和祈念堂での献奏を予定している。