競輪・照屋(北中城高出)華やかプロデビュー


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プロデビュー後、好成績を残す照屋将貴。スピードや持久力を付ける練習に余念がない=4日、県総合運動公園自転車競技場(花城太撮影)

 国内各地を転戦するプロ競輪で、デビューしたばかりの新人、照屋将貴(名護市我部祖河出身、北中城高校出、22歳)が華やかな滑り出しを見せている。7月のデビューから3カ月、これまで6カ所の競輪場のレース18走に出場し、1着12回、2着2回、3着1回で、着外は3回のみ。そのうち出走した決勝レースで優勝1回、準優勝2回と好成績を残す。「駆け引きなどまだ経験不足で学ぶべき点は多いが、やれるという自信もついてきた」。時速50~70キロほどの風を切るようなスピードで駆け抜ける勝負の世界で、確かな手応えをつかみ始めている。
 (外間崇)

◆3ヵ月で18走 1着12回/上級クラスへ 課題は持ち味確立

 

 競輪は大きく分けてS級とその下のA級がある。A級も選手の成績に応じて1班~3班まで3段階に分かれている。レースごとに順位により選手個々にポイントが加算され、半年ごとに班や級の入れ替えがある。

■上々スタート

 照屋はA級3班と、これから上を目指していくクラスに属している。デビュー戦は6着でプロの厳しさを痛感したが、9月初旬の徳島小松島でのレースで初優勝。その後も着実に優勝争いに食い込む。18走中1着12回は上々のスタートだ。

 普段ともに練習し、プロ競輪選手としての先輩でもあり、「師匠」でもある仲松勝太(39)は「こんなに多く1着を取るとは思っていなかった。本番に強い選手だ」と評価。「あとは自分で得意な形を見極め、レース展開をつくっていくようになれば楽しみだ」と可能性に太鼓判を押す。

 今後が楽しみな一方で、終盤勝負の「まくりタイプ」なのか、序盤から先頭に立つ「先行逃げ切りタイプ」なのか、持ち味を確立できていない点が自他ともに認める課題だ。「レースごとに対応していく中で、自分のスタイルを見つけていきたい。今はそれを探している段階」と話す。165センチ、69キロと小柄だが、得意なスタイルを持つことで、勝てるレースは増えてくるという。

■県勢の刺激に

 照屋の活躍は他の選手にとっても刺激になっている。現在、沖縄所属の競輪選手は13人で、沖縄市の県総合運動公園の自転車競技場(バンク)でともに練習することが多い。仲間であると同時に、プロとしてライバルでもある。「まだクラスは下だが、いずれ競い合うレースも出てくるだろう。負けないよ」(仲松)との言葉に、勝負の世界の厳しさが見える。

 選手総数は九州でも少なめだが、今年も2選手が日本競輪学校への入学試験に挑戦する予定など、ここ数年は県出身の合格者の数も伸びる。全国的に見ると、40代~50代の選手も多く、最高齢61歳の選手も出場する息の長いスポーツの一つだ。選手平均年収は1200万円ほどとされ、優勝賞金1億円のレースもある。

 高校時代は名護市の実家から父親の協力も得て、自転車を使いながら登下校した努力家の照屋。次戦は7日から始まる山口・防府でのレースだ。年齢やそれまでの経歴もさまざまな選手が集う競輪界で、「一つ一つ目の前のレースで結果を残していく」と、勝てる選手へ向け成長を期す。

共に練習をしながら、成長を目指す仲本道場の選手ら。中央が照屋将貴、右から2人目が仲松勝太