【ワシントン=座波幸代本紙特派員】米海軍安全センターが3日発表した2017米会計年度(16年10月~17年9月30日)の事故統計によると、米海兵隊航空機の10万飛行時間当たりの最も重大な「クラスA」の事故率が07年以降、過去最悪の5・28件で、過去10年間の平均の2倍弱となった。一方、米軍事専門誌ブレイキング・ディフェンス(電子版)は独自の分析で、12~17年度の米海兵隊の航空機事故による死亡者数は62人で、海軍の10人に比べ6倍に当たると報じた。
米海軍安全センターによると、17年度の「クラスA」事故件数は12件で21人が死亡した。9月28日にシリアで起きた垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの墜落事故も「クラスA」に分類した。同事故は「支援任務の着陸時に墜落」と明記した。
機種別でみると、オスプレイとFA18戦闘攻撃機が各4件、CH53大型ヘリ2件、KC130空中給油機、F35ステルス戦闘機が各1件。死亡者数は、7月にミシシッピ州で墜落したKC130が16人と最多。オスプレイは整備中も含め今年7月から3カ月連続で事故が起きた。
過去10年間の平均事故率は2・72件で、平均事故件数7・70件だった。17年度に次いで事故率が高かったのは、16年度と11年度の3・81件(事故件数各9件、12件)で、最も低かったのは10年度の1・70件(同5件)。
米軍は機体の被害額や人的被害を基に事故を分類し、クラスAは被害総額が200万ドル以上か、死者が出た時などが対象としている。ブレイキング・ディフェンス誌は海兵隊の航空部隊はヘリなどの輸送機が多く、1人乗りの戦闘機より乗員数が多いため、事故の際の犠牲者数が増える傾向にあると分析している。