ノーベル文学賞のイシグロ氏作品、書店で売り切れ続出 8作22万部の増刷決定


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カズオ・イシグロさんの本を求めて来店する客=6日、那覇市久茂地のリブロリウボウブックセンター店

 長崎市出身の英国人小説家カズオ・イシグロさん(62)のノーベル文学賞受賞決定を受け、沖縄を含む全国各地の書店には6日、著作を買い求める読者らが次々と訪れ、売り切れが相次いだ。

 県内の書店では特設コーナーを急きょ設置し、書籍が好調な売れ行きを見せていた。

 球陽堂書房サンエー那覇メインプレイス店では、2冊あったイシグロさんの著書が6日午前中に売り切れた。その後、注文依頼の電話が相次ぎ、午後3時時点で予約は10数件に上った。同店の店員は「全国の書店から出版社への注文が殺到しているようで、こちらにいつ入荷するか未定だ」と戸惑いを隠せない。

 リブロリウボウブックセンター店でも前日まで十数冊あった在庫は開店から1時間以内で売り切れた。午後4時半時点で在庫に関する問い合わせが店頭で30件、電話での問い合わせが10件あったという。同店は11月上旬にも入荷を予定しているという。同店の岡田秀行副店長は「例年のノーベル賞ではこういうことはなく、非常に驚いている」と語った。

 イシグロさんの本を求め書店を訪れた東恩納未来(みく)さん(32)=那覇市、会社員=は「今回の受賞で初めてイシグロさんを知り、どのような本を書く人か興味が湧いた」と話す。「受賞などがきっかけとなり、新しい作者と巡り会えることは幸せだ」とも語った。

 日本でイシグロ作品を独占的に刊行する早川書房は6日午前、同社発行の全8作品を計22万5千部増刷すると発表した。