サンゴ近種に褐虫藻 琉大チーム科学誌発表 白化防止に期待


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 琉球大学理学部のジェイムズ・ライマー准教授らは、沖縄近海に生息するサンゴの近種「イワスナギンチャク」の体内に生息する微生物「褐虫藻」が4種類いることを突き止めた。3日、米科学誌「PeerJ」に発表した。褐虫藻は水温の変化に非常に敏感で、海水温が高くなると死んでしまい、サンゴの白化の原因になる。ライマー准教授は「沖縄近海のサンゴ礁の多様さを示す結果だ」と話す。将来的には、サンゴの白化防止策にもつながりそうだ。

 ライマー准教授らは2012~15年にかけて沖縄本島内の8カ所と奄美大島の1カ所の海域で褐虫藻を採取して、DNAの違いを分析した。

 ライマー准教授は「水温差がほとんどない本島内の各地域で、4種類の褐虫藻が見つかった。予想より細かく環境が分かれていることが分かった」と解説。「サンゴの保護も県内一様でなく、多様性を考慮した方法が必要になる」と強調した。

 研究には当時、理学部の学生だった野田肇子さんも携わった。野田さんは「一見同じように見える生き物でも遺伝子レベルの違いが見られ、沖縄の生物多様性の高さに改めて驚かされた」と感想を述べた。また「小さな環境の違いでも、生物にとっては大きな変化となり得ると知ってほしい」と話す。

 ライマー准教授らは現在、嘉手納町水釜の海域で調査を進めている。ライマー准教授は「学生たちと調査を進めて、褐虫藻の多様性の要因を突き止めたい」と意気込んだ。