【東京】戦後詩人の第1世代として活躍、沖縄を代表する文化人の一人である作家の故・船越義彰さん著「きじむなあ物語」を読む会が東京都の町田市で発足し、物語の「きじむなあ」を通して沖縄への理解を深めている。きじむなあの家族が人間界との関わりで、さまざまなドラマが繰り広げる物語。メンバーは、その背景や作者の意図などを議論し合っているほか、頻繁に出てくるうちなーぐちの読み方や意味についても学んでいる。朗読会イベントを開くことも目的の一つだ。
会のメンバーは、船越さんの娘・豊岡こずえさんや友人の根尾範子さん、町田市で「平和のための小さな朗読会」を催している赤岩量子さん、朗読会に携わっている高徳二三子さん、沖縄で9年間暮らした経験のある白井淳さんら8人。昨年12月に発足し、2カ月に1度のペースで開催している。
豊岡さんは「きじむなあ物語」が書かれた背景について説明した。当時はベトナム戦争のさなかで、世の中が荒れており、その状況に対する「抵抗もあった」という。「『きじむなあ』が信じられると世の中は平和だという一つのパラドックス(逆説)として僕の中から生まれたものだ。反戦を強く訴えるものでなく、妖精の存在を信じる純粋な心を取り戻してみようという思いがあった」という義彰さんの言葉を紹介した。
その上で「きじむなあが世界を飛んで回ってほしい。そうすれば世界から戦争が無くなる」と話した。
高徳さんは、庭にある木の枝が風で折れたのを接いで直した経験を披露。「夫に脳腫瘍が見つかり、心配したが、良性で、元気になった。きじむなあが助けてくれたのではと思った」と語った。
メンバーは物語を読み進めながら、自身が受けた感じ方を語り合い、沖縄の生活習慣や文化について、認識を深めた。