首里教会 戦前の姿に 沖縄戦で破壊の旧会堂


社会
この記事を書いた人 琉球新報社
復元された首里教会の旧会堂塔屋を見上げる人たち=15日、那覇市首里当蔵町

 沖縄戦で激戦地となった那覇市首里当蔵町の日本キリスト教団・首里教会で、復元工事が進められていた旧会堂塔屋が完成し、15日公開された。

 首里教会の旧会堂塔屋は戦争で激しく破壊され、戦後補修され使われていたが、1984年に取り壊された。2008年、創立100周年を迎えた首里教会は、沖縄戦の悲劇を忘れないため、旧会堂と十字架を復元することを決め、去年11月に着工した。十字架は戦争で損傷した状態に再現され、旧会堂完成より一足先の今年5月、完成した。

 旧会堂は、戦前の設計がほぼ当時のまま復元された。首里教会によると戦前の設計図が、銅の筒に入れられ、定礎に埋め込まれていたため、沖縄戦でも消失しなかったという。

 15日、地域の人や信徒らが復元された旧会堂の屋上に上り、復元十字架の写真を撮影したり、塔に上って首里の町並みを見下ろす景色を楽しんだりしていた。

 首里に住む山里恵子さん(72)は「子どもの頃から教会の傷ついた姿を見ていたので、復元されて良かった」と話した。また伊狩典子さん(89)は「戦後、沖縄は焼け野原で何も面影がなかったが、教会にはたくさん思い出がある。素晴らしくて胸が詰まってしまう」と感動した様子だった。

 公開に先立ち行われた献堂式には、信者や地域の人ら約150人が参加した。