不明のジュゴンの鳴き音か 辺野古周辺海域で防衛局が8月に採取


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
ゆったりと泳ぐ国の天然記念物ジュゴン=2008年3月、沖縄県名護市の嘉陽沖

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設の環境への影響を調べるため、防衛省沖縄防衛局が周辺海域で実施しているジュゴンの生息調査で、8月28日に国頭村安田(あだ)で録音されたジュゴンの鳴音(めいおん)について、2015年6月以降、確認されていなかった個体Cの可能性があることが16日、分かった。

 防衛局が10日公表した第9回環境監視等委員会(9月27日開催)の議事録に記載されていた。

 防衛局はジュゴンの生息状況や行動傾向などを確認するため、航空機と水中録音装置を活用した監視を続けている。

 鳴音で個体識別はできないが、同じ時間帯に別のジュゴンが目視され、状況的に県内に現在3頭しかいないとされるうちの個体Cの可能性があるという。

 議事録によると8月28日午前10時ごろ、水中録音装置で安田海域でジュゴンの鳴音と思われる音を確認した。一方、ヘリコプターによる調査で同9時53分に古宇利海域で個体Bの姿が確認されたため、防衛局は鳴音は個体B以外のものだと想定している。

 ある委員はこれまでの記録に基づき、個体Aの生息範囲がおおむね嘉陽海域に限られていることから、個体Cの鳴音である可能性を指摘。これに対し防衛局は、鳴音の個体識別は困難としつつ「個体Cである可能性は、個体Aの可能性も含めて否定はしていない」と回答していた。

 安田海域では8月29、30日の午後にもジュゴンの鳴音と思われる音が確認されている。

 日本自然保護協会の安部真理子主任は「個体Cが確認されたのなら喜ばしいことだが、そもそも水中録音装置の目的が不明瞭だ」と指摘した。個体識別が不能な鳴音の採取より「実効性のある保全措置を講じることが重要だ」と述べた。
(当銘千絵)

英文へ→ODB recorded call from heretofore unidentified dugong in waters surrounding Henoko in August