【名護】17日の沖縄そばの日、名護市の沖縄そば屋「我部祖河食堂」の厨房(ちゅうぼう)には、数え88歳のトーカチを迎えた創業者の金城源治さんの姿があった。今も午前10時から午後3時ごろまで厨房に立つ金城さんは「お客さんから『ごちそうさまでした』と言われた時が本当にうれしい」と笑顔を見せる。常に“真実一路の精神”で、「まくとぅんちゅを心掛けている」という。
この日はそばの日とあってお客さんも多め。次々とくる注文に真剣な目つきでそばをゆでおわんに盛り、自慢のソーキをのせた。
地元の我部祖河から食べに来たという大城清美さん(58)は「とてもおいしかった。そばの日だから娘2人と一緒に来た。金城さんの元気はすごい。昔とちっとも変わらない。トーカチとは信じられませんね」と感心していた。
市内から来たという比嘉伸秀さん(60)は「きょうは特別の日だから、夫婦で食べに来た。とてもおいしい。金城さんはみんなのために今後も元気で頑張ってほしい」とエールを送る。
金城さんの仕事は麺をゆがくこと。1日120食ほどゆがく。土曜、日曜はさらに増える。「地元の皆さんがとても協力的だからできる。我部祖河の名前がついているから大事にしてくれるのでありがたい」と感謝する。
手が空くと客席を回り「味はどうですか」と聞いて回ることも。そして「今の味を決して落としてはいけない」と強調した。後を継ぐ息子たちにもこのことは口酸っぱく言っているそうだ。
同食堂は1966年に名護市我部祖河に第1号店を開店、現在は那覇など県内に6店舗を構える。
金城さんは「ソーキそばの元祖はうちの店」と誇りを持っている。精肉店をしていたころ在庫のソーキの肉を煮つけ、近所の子どもたちに食べさせていたら、子どもに好評でそれをヒントにソーキそばが生まれたという。
我部祖河の地元に愛され金城さんは「100歳まで頑張るよ」と元気いっぱいだ。(幸地光男通信員)