【アメリカ】南加県人会協、沖縄県系若者3人に奨学金 日本文化の継承願い


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南カリフォルニア県人会協議会から育英奨学金を授与した沖縄県系のエマ・ノリエ・アンダーソンさん(後列左端)、ヘレン・美佐・古堅さん(同左から2人目)、カイリー・仲田さん(同4人目)=15日、米カリフォルニア州のアラタニ劇場

 日本全国39の沖縄県人会が加盟する南カリフォルニア(南加)県人会協議会(西元和彦会長)は15日、米カリフォルニア州ロサンゼルスの日本人街「リトル東京」にあるアラタニ劇場で「第38回親睦演芸会」を開き、約500人が来場した。県系の若者3人に育英奨学金が授与された。チャリティーショーも開かれ、特別ゲストの演歌歌手、出光仁美さんが花を添えた。

 約40年前、南カリフォルニアの日系社会に貢献したいと、2、3人の有志によって「南加県人会協議会」が発足した。育英奨学資金は38年前から始まり、日本の文化・芸能に励む若者らに贈られる。そこには、末永く継承してほしいとの願いが込められており、毎年6~10人に各千ドルを贈呈している。今年の受賞者は6人で、うち3人が沖縄県系の若者であった。奨学金は申し込み段階で、県人会と師匠の推薦が必要となる。

「愛しゃ愛しゃ」を熱唱する特別ゲストの演歌歌手の出光仁美さん

 県系人の受賞者は、琉球筝曲(照屋勝子師匠)でカリフォルニア大学アーバイン校2年生のエマ・ノリエ・アンダーソンさん(19)、沖縄三線(石原春雄師匠)でカリフォルニア州立大学ロングビーチ校3年生のヘレン・美佐・古堅さん(20)、琉球筝曲(照屋勝子師匠)でカリフォルニア大学アーバイン校2年生のカイリー・仲田さん(19)の3人。共に北米沖縄県人会の推薦で受賞し、各自千ドルと賞状が授与された。

 受賞者を代表して宮崎県人会推薦の木村早希さん(18)=カリフォルニア大学アーバイン校=が「私たちは日系アメリカ人として、各県人会の指導の下、双方の国の文化を吸収しながら育ってきた。受賞を励みに、日系人であることを誇りに、これからもなお一層頑張っていきたい」としっかりとした日本語で謝辞を述べた。在ロサンゼルス総領事館を代表して菊間茂領事があいさつし「在外の若者が国内よりも日本文化、芸能に懸命に励んでいる様子に感激している」と語った。

 15県人会による演芸も披露され、各地の民謡や舞踊、創作舞踊、フラメンコ、コーラス、津軽三味線、歌とダンスなど多彩だった。沖縄北米県人会からは、芸能部が「琉球国祭り太鼓」で出演し、会場に太鼓の音が力強くリズミカルに快く響き渡った。

 第2部は特別ゲストの演歌歌手、出光さん(日本コロンビア)が歌の数々を披露し、観客から盛大な拍手が送られていた。出光さんは福岡県出身の山内惠介さんらを育てた作曲家、水森英夫さんの門下。九州産業大学を卒業し、教師の免許を持ち、プロの画家でもあったが、7年前に演歌歌手になった変わり種だ。最近のヒット曲、沖縄メロディーの「愛(かな)しゃ愛(かな)しゃ」に力を入れている出光さんは「沖縄でリサイタルをやりたい」と話した。
 (当銘貞夫通信員)