「さくらねこ」見守って どうぶつ基金、ネコ350匹に不妊手術 うるま市


この記事を書いた人 平良 正
麻酔が覚めないうちにスタッフによって耳先をサクラのようにカットした「さくらねこ」。手術が行われる会場には次々とネコが運び込まれてきた=10月31日午前、うるま市石川庁舎

 【うるま】公益財団法人どうぶつ基金(兵庫県)が10月30日から11月3日まで、沖縄県のうるま市石川庁舎でネコの無料出張不妊手術を行った。手術は、うるま市の伊計島や宮城島など5離島と北谷町のネコ約350匹を対象に行われた。同基金は2005年から全国で無料不妊手術事業を行い、延べ約5万匹に手術を実施した。県内では2015年から延べ1793匹に手術を行い、今回で8回目になる。

 10月31日、手術台が並べられた石川庁舎の一角に、次々とネコが運び込まれた。ネコは麻酔で眠らされた後、獣医師の前に運ばれ、雄は1分程度、雌は5~15分程度で不妊手術を終える。

 「不妊手術済み」の証しとして、耳先をサクラの花びらのようにV字にカットし、自然に返される。

 どうぶつ基金の佐上邦久理事長は「殺処分されるネコには生まれたばかりの子ネコが一定数含まれている。飼い主のいない子ネコが生まれなければ、ネコの殺処分数は減る」と事業を続ける背景を話す。

同基金や動物保護団体などの努力により、同基金が事業を始めた2005年度のネコ殺処分数は22万6702匹だったが、16年度には4万5574匹まで減少した。

 

 近年、無責任な飼い主により、不幸な境遇に置かれるネコも増えている。無料出張不妊手術の期間中、飼い主の意図を超えて増える「多頭飼育崩壊」によって増えたネコ20匹が会場に運び込まれた。

 

 同基金は、人とネコが幸せに共生できる社会を目指し、ネコの殺処分数ゼロを実現するまで無償の活動を続ける。

 

 佐上理事長は「耳をサクラのようにカットした“さくらねこ”を見たら、その後ろにネコの幸せを祈る多くの人がいることを知って、一代限りの命をしっかりと生きられるよう見守ってほしい」と呼び掛けた。

 

 どうぶつ基金は無料不妊手術事業として、同基金の審査を通った対象者に、全国の協力病院で無料不妊手術を受けられるチケットを配布する事業を行っている。県内では那覇市のみやざわ動物病院が協力病院として登録されている。詳細は同基金HP「さくらねこ無料不妊手術」まで。