米軍の「メモリーカード預かり」 法的根拠は?


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 名護市辺野古の新基地建設海域で、沖縄県が希少サンゴの海中調査で使用したカメラのメモリーカードを、米軍側が2週間預かっていたことが7日までに判明した。沖縄防衛局が米軍からの調査の条件としてカード提出を求め、県が応じた。

 本紙の取材に対し防衛局は、県の物品を預かることの法的根拠について「日米地位協定3条の管理権に基づくものではないか」とし、米軍の意向を推測した。地位協定の3条には、管理などを理由に米軍から要請があれば日米両政府の協議の上、関係法令の範囲内で必要な措置を執る旨が記されている。しかし管理の範囲があいまいで、「カード預かり」が地位協定3条の拡大解釈につながる恐れがある。加えて、調査・分析に2週間の遅れが出るなど、県側が不利益を被る事態も生じた。

 地位協定に詳しい新垣勉弁護士は「写真を確認するだけなら、調査直後に米軍立ち会いの下、その場で確認するだけでいいはずだ。カードの預かりは行き過ぎだ」と述べ、地位協定3条の拡大解釈だと指摘した。

 防衛局は「米軍キャンプ・シュワブの施設などが写っていないか調べると米軍側から要請があったため、預かった」と答え、仮に写っていた場合は、該当する写真のデータが削除される可能性があると説明した。

 県は10月25日に調査を実施し、その場で防衛局を通じて米軍に引き渡し、11月7日に返却された。海中調査を実施した県海岸防災課は「おそらく消去された写真はない」と述べ、これから精査に入る。
(砂川博範)