周辺地下水からヒ素 沖縄市の倉敷環境、基準値の18倍地点も


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 沖縄県内大手の産業廃棄物処理業者・倉敷環境=沖縄市池原=が長年、違法にごみを積み上げ放置している問題で、県が9月に施設周辺11地点を対象に実施した地下水調査で、5地点から基準値を超える有害物質のヒ素が検出されていたことが12日、分かった。「ごみ山」の東側の採取地点では環境基準値(1リットル当たり0・01ミリグラム)の18・4倍の濃度が確認された。施設周辺ではこれまでにも度々、同レベルのヒ素やホウ素、ベンゼンなどの有害物質が検出されており、県は同社が汚染源である可能性が極めて高いとみている。

 11調査地点のうち、地下水汚染が確認されなかったのは1地点のみ。当該地点も基準値は下回るが微量のヒ素が確認された。ほかにカドミウムが5地点、総水銀が4地点、鉛が1地点で基準を超過した。河川や農業用貯水池については、いずれも環境基準を超える物質は検出されていない。

 数値は10月末にあった県や沖縄市、農業者団体、処分場業者などでつくる協議会の中で、速報値として報告された。

 公衆衛生学に精通する吉田朝啓さん(86)は地下水を直接利用しない限り人体に多大な影響はないとの見解を示した上で「県は長期的、広域的に影響を調べるべき。エビデンス(証拠)をしっかり得て知らせることで、県民も安心できる」と話した。

 県は深刻な地下水汚染の実態を受け、2014年度から周辺地下水などの調査を年2回実施している。また周辺地域の環境対策を検証するため、このほど有識者委員会を発足し、先月に第1回会議を開いた。