石材、海上から辺野古に 陸上も同時搬入 新基地建設


この記事を書いた人 大森 茂夫
K9護岸の先端部に台船が着岸し、重機とトラックを使って初めて海上から石材が搬入された=14日午前11時18分、名護市辺野古(小型無人機で撮影)

 【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で、沖縄防衛局は14日、辺野古崎北側の「K9護岸」を使い、初めて海上から石材を搬入した。米軍キャンプ・シュワブのゲートからも工事車両で資材を運び込んだ。陸上に加え海上からも同時に資材搬入を行い、工事を加速させる。県が工事停止を求める行政指導などを行う中で、工事を強行する国の姿勢に、県内で反発の声が一層強まりそうだ。

 県はK9護岸を使った搬入は実施設計の変更に当たると指摘し、事前協議をやり直すことや、協議がまとまるまで海上運搬を実施しないことを求めていた。これに対し沖縄防衛局は、2015年に協議済みだとして、県の指摘は「当たらない」と回答、同護岸を使った海上搬入を強行した。

 台船は辺野古崎北側の100メートルまで延びた「K9護岸」に午前9時半ごろ、ロープで係留され、同10時半ごろに接岸した。船上に積んだ砕石を重機でトラックに載せ替え、陸上に搬入した。

 運び込んだ砕石は10トンダンプカー約50台分で、13日に国頭村奥港で積んだもの。辺野古崎南西側のK1護岸とN5護岸を造成する工事に投入される。

 新基地に反対する市民は海上や、K9護岸が見える瀬嵩の浜、ゲート前で抗議の声を上げた。

 県は14日、吉田勝広政策調整監らが国頭村を訪れ、海上輸送に伴う奥港の岸壁と港湾施設用地の使用許可を9月に出したことについて同村や奥区に説明した。宮城久和村長は「区民の不安を取り除くよう最大限努力してほしい」と要望した。

 奥区は23日に区民総会を開き、奥港からの海上輸送について区の方針を話し合う予定。総会には県土木建築部の宮城理部長も同席する。沖縄防衛局に対し13日、総会まで同港を使った海上輸送を行わないよう求めた。

 沖縄防衛局は本紙取材に23日まで搬出を止めるよう地元から要望があることについて「次回以降の搬出に当たっては区長をはじめとする関係者の皆様に丁寧な説明を行い、理解を得ていきたい」とするにとどめ、搬出の一時中止は明言しなかった。