粟国路線再開 来年に延期 第一航空 県・村補助の調整難航


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 【粟国】2015年8月に粟国空港でプロペラ機DHC6が着陸に失敗し11人が負傷した事故を受けて那覇―粟国路線が運休している問題で、同路線を運航する第一航空(大阪府)による運航再開が来年1月中旬以降になることが22日までに分かった。同社は8月、今秋の再開を目指すと発表していた。同社によると、路線維持のための補助金を巡り、沖縄県や粟国村との調整が難航していることが主な理由とする。県は「村や第一航空と協議中で再開時期はまだ確定できない」と述べ、再開時期は1月よりさらに遅れる可能性もある。

 同社の澤田隆夫沖縄事業本部長は、再開時に使用する予定の機体が12月から1月上旬まで耐空検査を受けるため、検査終了まで再開ができないとしている。

 那覇―粟国路線は、黒字が見通せないことなどから県内で唯一の国庫補助対象路線で、路線の赤字分を国、県、村がそれぞれ負担。同路線の14年度補助金額は約1億3310万円。国が約1970万円、県が約7560万円、村が約3780万円を負担した。

 粟国村の伊佐文宏副村長は「赤字見込み額として第一航空から14年度の数倍の額が提示された。村も県も際限なく補助することはできないので協議している」と説明した。

 赤字の見込み額が14年度より増えた理由について、同社は(1)大きな機体への変更によるコスト増(2)再開準備に向けた訓練費用や人件費―などを挙げた。澤田本部長は「再開に最低限必要な設備で理解してもらいたい」と理解を求めた。

 県交通政策課によると、補助金は本来、飛行期間中の赤字に対するものだが、機体購入や訓練がある場合はそれに伴う減価償却費用も対象となる。補助金額については、運航再開後に利用客数などを踏まえて最終決定される。同課は「年内にある程度見通しが出せるようにしたい」と、粟国村や第一航空と今後も協議を続けていく考えを示した。